原発性肺リンパ肉腫の手術治験例
肺原発性腫瘍の大部分は悪性で, そのほとんどは肺癌である. 原発性肺肉腫の発生はきわめて稀で, なかでも原発性肺リンパ肉腫の報告は少なく, 著者らが文献上調べた範囲では, 本邦では現在までに僅か9例しか認められていない. 著者らは46歳の男性で, 慢性閉塞性肺炎の診断のもとに, 右中下葉切除を行なったが, 組織学的に原発性肺りンパ肉腫であった1例を経験した. 本症例は郭清リンパ節に転移を認めず, 全身スキャノグラム, 諸検査でも肺以外に病巣を認めず, 術後3年を経過した現在, 外来でのfollow upでも全く健康で, 転移, 再発を認めていない. 本症例は原発性肺リンパ肉腫としては本邦におけ...
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| Published in | 川崎医学会誌 Vol. 6; no. 1/2; pp. 60 - 66 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
川崎医学会
1980
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0386-5924 |
| DOI | 10.11482/kmj-j6(1.2)60 |
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| Summary: | 肺原発性腫瘍の大部分は悪性で, そのほとんどは肺癌である. 原発性肺肉腫の発生はきわめて稀で, なかでも原発性肺リンパ肉腫の報告は少なく, 著者らが文献上調べた範囲では, 本邦では現在までに僅か9例しか認められていない. 著者らは46歳の男性で, 慢性閉塞性肺炎の診断のもとに, 右中下葉切除を行なったが, 組織学的に原発性肺りンパ肉腫であった1例を経験した. 本症例は郭清リンパ節に転移を認めず, 全身スキャノグラム, 諸検査でも肺以外に病巣を認めず, 術後3年を経過した現在, 外来でのfollow upでも全く健康で, 転移, 再発を認めていない. 本症例は原発性肺リンパ肉腫としては本邦における10例目である. 原発性肺リンパ肉腫の臨床的特異性などについて述べ, 文献的考察を加えて報告した. 「緒言」肺原発腫瘍の大部分は悪性で, そのほとんどは肺癌である. 原発性肺肉腫の発生はきわめて稀で, その発生頻度は肺癌の0.2~2.0%と報告されている. |
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| ISSN: | 0386-5924 |
| DOI: | 10.11482/kmj-j6(1.2)60 |