免疫グロブリン遺伝子の再構成を認めた術後14年目の対側再発BALTomaの1例

62才男性が, 14年前に他施設でpseudolymphomaの診断で右肺上中葉の切除術を受けた.以後近医で定期的にfollowupされていた.術後10年頃より左下肺野に異常陰影を指摘され, 胸部CTと経気管支肺生検の繰り返すも, 確定診断に至らなかった.陰影の増大傾向を認め, 当院で胸腔鏡下生検を行った.生検組織と14年前の固定標本からDNAを抽出しPCR法で免疫グロブリンのH鎖とT細胞受容体の遺伝子の比較検討を行った.共に免疫グロブリンのH鎖の再構成バンドを認め, T細胞受容体の再構成を認めなかった.この遺伝子解析によって肺原発のB細胞リンパ腫 (BALToma) の対側肺への14年後の対...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 16; no. 7; pp. 822 - 828
Main Authors 渡邊, 洋宇, 松原, 純一, 佐久間, 勉, 上田, 善道, 土島, 秀次, 野中, 利通, 四方, 裕夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.11.2002
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.16.7_822

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Summary:62才男性が, 14年前に他施設でpseudolymphomaの診断で右肺上中葉の切除術を受けた.以後近医で定期的にfollowupされていた.術後10年頃より左下肺野に異常陰影を指摘され, 胸部CTと経気管支肺生検の繰り返すも, 確定診断に至らなかった.陰影の増大傾向を認め, 当院で胸腔鏡下生検を行った.生検組織と14年前の固定標本からDNAを抽出しPCR法で免疫グロブリンのH鎖とT細胞受容体の遺伝子の比較検討を行った.共に免疫グロブリンのH鎖の再構成バンドを認め, T細胞受容体の再構成を認めなかった.この遺伝子解析によって肺原発のB細胞リンパ腫 (BALToma) の対側肺への14年後の対側多発再発と診断し, 手術は行わず新しいプリン誘導体fludarabineを用いた化学療法を2クール施行し有効な結果を得た.しかしBALTomaは経過の長い悪性リンパ腫であり今後の厳重な経過観察が必要と考える.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.16.7_822