途上国における口腔保健専門家養成の試み

著者らは1989年からネパールにおいて歯科保健医療を中心とした国際協力を行っている。1994年から1997年にかけて、村のローカルリーダーを対象に口腔保健専門家の養成プロジェクトを実施した。プロジェクトは年1回実施し、これまで4期で計46名の口腔保健専門家を養成した。その内訳は、小学校教師21名、カウンターパート職員9名、ヘルスポスト職員11名、その他4名である。教育内容は、「歯科領域の基礎医学」、「う蝕と歯周病の病理と診断」、「プラークコントロールの理論と実践」、「食生活と歯の健康 (栄養指導) 」である。このプロジェクト内容を評価し、検討した結果、以下の結論を得た。 (1) 教育プログラム...

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Published in日本健康教育学会誌 Vol. 6; no. 2; pp. 1 - 9
Main Authors 矢野, 裕子, 小川, 孝雄, 蒲池, 世史郎, 中村, 修一, 深井, 穫博, 安部, 一紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本健康教育学会 1999
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ISSN1340-2560
1884-5053
DOI10.11260/kenkokyoiku1993.6.2_1

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Summary:著者らは1989年からネパールにおいて歯科保健医療を中心とした国際協力を行っている。1994年から1997年にかけて、村のローカルリーダーを対象に口腔保健専門家の養成プロジェクトを実施した。プロジェクトは年1回実施し、これまで4期で計46名の口腔保健専門家を養成した。その内訳は、小学校教師21名、カウンターパート職員9名、ヘルスポスト職員11名、その他4名である。教育内容は、「歯科領域の基礎医学」、「う蝕と歯周病の病理と診断」、「プラークコントロールの理論と実践」、「食生活と歯の健康 (栄養指導) 」である。このプロジェクト内容を評価し、検討した結果、以下の結論を得た。 (1) 教育プログラムへの受講生の評価では、対象者の75%が「理解できた」と回答した。講義や実習の量に関しては、66.6%が肯定的回答であった。 (2) 受講生の卒後活動に対する希望では、「歯みがき指導」が100%であり、「歯石除去」66.6%、「口腔検診」41.6%、「栄養指導」33.3%であった。またその場所は、「学校」75.0%、「村・ヘルスポスト」50.0%、「家庭」33.3%であった。 (3) 理論と実践を組み合わせた養成プログラムは受講生の理解と卒後の活動を促すために有効であった。 (4) 口腔保健専門家の養成に学校歯科保健活動を組み入れ、学校教師をヘルスワーカーとして育成することは途上国では有効な方法であると考えられた。
ISSN:1340-2560
1884-5053
DOI:10.11260/kenkokyoiku1993.6.2_1