門脈大循環短絡による反復性肝性脳症を合併したCaroli病の1例

症例は63歳男性.主訴は意識障害.昭和62年及び平成2年にも一過性の意識障害を認めている.平成3年12月に意識消失をきたし入院.種々の臨床検査成績,臨床経過および脳波所見より肝性脳症と診断した.超音波検査およびCT検査により,肝両葉に多発性に肝内胆管の嚢胞状拡張を認めたが総胆管拡張所見はなくCaroli病と診断した.血管造影にて上腸間膜静脈より下大静脈への短絡形成を認めた.肝組織では結節形成はなく,胆管の拡張および増生と胆管周囲の軽度の線維化を認めた.門脈は狭小化し,周囲に軽度の線維化を認めた.門脈圧亢進症を伴ったCaroli病は,線維化合併型に分類されているが,門脈大循環短絡形成を合併した例...

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Published in肝臓 Vol. 35; no. 10; pp. 753 - 759
Main Authors 水野, 幸一, 藤村, 憲治, 樋口, 健一, 三田村, 圭二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1994
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.35.753

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Summary:症例は63歳男性.主訴は意識障害.昭和62年及び平成2年にも一過性の意識障害を認めている.平成3年12月に意識消失をきたし入院.種々の臨床検査成績,臨床経過および脳波所見より肝性脳症と診断した.超音波検査およびCT検査により,肝両葉に多発性に肝内胆管の嚢胞状拡張を認めたが総胆管拡張所見はなくCaroli病と診断した.血管造影にて上腸間膜静脈より下大静脈への短絡形成を認めた.肝組織では結節形成はなく,胆管の拡張および増生と胆管周囲の軽度の線維化を認めた.門脈は狭小化し,周囲に軽度の線維化を認めた.門脈圧亢進症を伴ったCaroli病は,線維化合併型に分類されているが,門脈大循環短絡形成を合併した例は稀で,本症例は示唆に富む症例であり,その原因として肝内胆管拡張による門脈の圧迫の他に,先天性肝外門脈大循環短絡症が合併していた可能性も推定された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.35.753