側副血行路閉塞術により淡蒼球のMRI T1強調画像高信号が消失したportal-systemic encephalopathyの1例
症例は59歳の男性, 高アンモニア血症と意識障害を有する肝硬変患者. フラジオマイシン, ラクチュロースで治療するも高アンモニア血症, 意識障害が持続した. 血管造影で左胃静脈, 後胃静脈から左腎静脈への側副血行路が造影され肝硬変に基づくportal-systemic encephalopathyと診断. 経皮経肝門脈塞栓術 (PTO), バルーン下逆行性経静脈的塞栓術 (B-RTO) に先立ち, 各部の採血によりアンモニアの側副血行路を介した大循環への流出を確認した後, 後胃静脈, 左腎静脈をPTO, B-RTOにより閉塞した. 術後, アンモニア, 意識障害は改善, 正常化した. 塞栓術の...
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| Published in | 肝臓 Vol. 38; no. 11; pp. 668 - 672 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
25.11.1997
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| Subjects | |
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| ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI | 10.2957/kanzo.38.668 |
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| Summary: | 症例は59歳の男性, 高アンモニア血症と意識障害を有する肝硬変患者. フラジオマイシン, ラクチュロースで治療するも高アンモニア血症, 意識障害が持続した. 血管造影で左胃静脈, 後胃静脈から左腎静脈への側副血行路が造影され肝硬変に基づくportal-systemic encephalopathyと診断. 経皮経肝門脈塞栓術 (PTO), バルーン下逆行性経静脈的塞栓術 (B-RTO) に先立ち, 各部の採血によりアンモニアの側副血行路を介した大循環への流出を確認した後, 後胃静脈, 左腎静脈をPTO, B-RTOにより閉塞した. 術後, アンモニア, 意識障害は改善, 正常化した. 塞栓術の1年3カ月前に行われたMRIでは淡蒼球に両側対称性のT1強調画像高信号が認められたが, 術後1年4カ月のMRIでは高信号は消失していた. 淡蒼球高信号の成因, 出現機序については諸説があるが, 側副血行路形成が最も重要で, アンモニアなどの中毒物質が関与すると思われた. |
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| ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI: | 10.2957/kanzo.38.668 |