Temafloxacinのin vitro抗菌作用

ニューキノロン剤 temafloxacin (TMFX) の臨床分離株に対する抗菌力を ciprofloxacin (CPFX), enoxacin (ENX), ofloxacin (OFLX) および norfloxacin (NFLX) と比較検討した。MRSAを含むグラム陽性菌5菌種に対してTMFXは測定薬剤中最も強い抗菌力を示した。グラム陰性菌10菌種に対するTMFXの抗菌力はOFLXとほぼ同程度であり, CPFXより弱かった。しかし, Moraxella catarrhalis および Haemophilus influenzae に対してはCPFXと同等で, B.fragilis...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 41; no. Supplement5; pp. 67 - 80
Main Authors 山口, 東太郎, 恩田, 時男, 松下, 忠弘, 内藤, 真智子, 押田, 忠弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1993
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.41.Supplement5_67

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Summary:ニューキノロン剤 temafloxacin (TMFX) の臨床分離株に対する抗菌力を ciprofloxacin (CPFX), enoxacin (ENX), ofloxacin (OFLX) および norfloxacin (NFLX) と比較検討した。MRSAを含むグラム陽性菌5菌種に対してTMFXは測定薬剤中最も強い抗菌力を示した。グラム陰性菌10菌種に対するTMFXの抗菌力はOFLXとほぼ同程度であり, CPFXより弱かった。しかし, Moraxella catarrhalis および Haemophilus influenzae に対してはCPFXと同等で, B.fragilis ではTMFXが最も強い抗菌力を示した。また, マイコプラズマおよびクラミジアの標準菌株に対してTMFXが最も強い抗菌力を示した。 TMFXの抗菌力に及ぼす各種測定培地, 接種菌量, 馬血清添加の影響は無かったが, Mg2+イオンの添加および培地pHの影響を受け酸性およびアルカリ性で抗菌力が低下した。特に培地pH5の時に他剤と同様に抗菌力が著しく低下した。 黄色ブドウ球菌, 大腸菌および緑膿菌の増殖曲線に対する影響をCPFXおよびOFLXと比較したところ, MICないし2MIC以上で殺菌的に作用した。併せて大腸菌及び緑膿菌の形態に及ぼす影響を検討したところ, 大腸菌では著しい伸長化が観察され, 緑膿菌では8MIC以上の作用で膨化し, 溶菌像も一部観察された。 TMFXの作用機序を明らかにするため, E.coli KL-16株よりDNAgyraseを精製し, そのスーパーコイリング活性の阻害作用を検討した結果, TMFXはOFLXおよびNFLXとほぼ等しいIC50値を示した。 グラム陽性2菌種, グラム陰性3菌種の標準菌株を用いて自然耐性菌の出現頻度を検討したところ, TMFX耐性株の出現頻度は他剤と同様の傾向を示した。 以上のin vitro抗菌作用の検討成績よりTMFXは各種細菌感染症に対して有効な薬剤であることが示唆された。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.41.Supplement5_67