勤務助産師における就業継続困難感尺度の作成と信頼性・妥当性の検討
目 的本研究の目的は,勤務助産師に対するキャリア発達支援を行うにあたり,個々の助産師が抱える就業継続困難感を評価するための尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することである。方 法助産師を対象とした就業継続困難感に関する調査や文献検討に基づき,尺度の質問項目を選定し,勤務助産師の就業継続困難感尺度原案を作成した。次に専門家らによる適切性の評価を実施し,計47項目の尺度原案修正版を作成した。その後,病院や診療所に勤務している助産師694名に対して質問紙調査を実施し,尺度の信頼性と妥当性を検討した。結 果質問紙調査の有効回答数は509名(有効回答率87.8%)であった。項目分析の結果,9項目を除...
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Published in | 日本助産学会誌 p. JJAM-2021-0042 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本助産学会
2023
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Subjects | |
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ISSN | 0917-6357 1882-4307 |
DOI | 10.3418/jjam.JJAM-2021-0042 |
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Summary: | 目 的本研究の目的は,勤務助産師に対するキャリア発達支援を行うにあたり,個々の助産師が抱える就業継続困難感を評価するための尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することである。方 法助産師を対象とした就業継続困難感に関する調査や文献検討に基づき,尺度の質問項目を選定し,勤務助産師の就業継続困難感尺度原案を作成した。次に専門家らによる適切性の評価を実施し,計47項目の尺度原案修正版を作成した。その後,病院や診療所に勤務している助産師694名に対して質問紙調査を実施し,尺度の信頼性と妥当性を検討した。結 果質問紙調査の有効回答数は509名(有効回答率87.8%)であった。項目分析の結果,9項目を除外した。次に探索的因子分析(主因子法,プロマックス回転)を行い,基準に従って項目数を整理した。最終的に,【対人関係の構築に関すること】,【助産師としての職責に関すること】,【専門性の発揮に関すること】,【柔軟な働き方の調整に関すること】,【職務上の役割に関すること】の5因子構造,計23項目の尺度となった。また,確認的因子分析により一定の適合度が認められた。既知グループ法による比較の結果,「退職希望群」の合計得点は「就業継続希望群」,「有期継続希望群」よりも有意に高かった(p<0.001)。基準関連妥当性については,本尺度と職業性ストレス簡易調査票の下位尺度に高い相関(r=−0.55~−0.78)が認められた。尺度の信頼性はCronbach's α係数0.91であり,内的整合性および再テスト法(r=0.77)による安定性が確認された。結 論勤務助産師の就業継続困難感尺度は,5因子23項目から成り,信頼性と妥当性が確認された。本尺度は勤務助産師の就業継続困難感を評価するツールとして有用性があると考える。 |
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ISSN: | 0917-6357 1882-4307 |
DOI: | 10.3418/jjam.JJAM-2021-0042 |