インスリン動態よりみた肝障害時の糖代謝異常に関する研究

各種肝疾患323例に100gブドウ糖負荷試験および免疫インスリン(IRI)測定を施行し,肝障害時の糖代謝異常をインスリン動態の面より検討した.すなわち肝疾患ではすべて糖尿病に比べ30分ΔIRI/ΔBSは高値を示すが,正常と比べると急性肝炎急性期では低値,回復期には正常化の傾向をみた.また肝硬変では肝疾患のうち最も低い30分ΔIRI/ΔBS値であり,これは糖尿病病態に近いことを示唆する.糖尿病合併肝疾患は糖尿病と肝疾患の間の30分ΔIRI/ΔBS値を示した.肝疾患では30分ΔIRI/ΔBSは耐糖能異常の程度と負の相関関係を示し,糖尿病型は糖尿病合併肝疾患に比べ高値であった.慢性肝炎非活動性の糖尿...

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Published in肝臓 Vol. 18; no. 9; pp. 615 - 624
Main Authors 平海, 良雄, 大高, 剛, 中島, 一益, 葛谷, 覚元, 金綱, 隆弘, 高森, 成之, 牧野, 邦雄, 増田, 正典, 千丸, 博司, 滝野, 辰郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1977
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.18.615

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Summary:各種肝疾患323例に100gブドウ糖負荷試験および免疫インスリン(IRI)測定を施行し,肝障害時の糖代謝異常をインスリン動態の面より検討した.すなわち肝疾患ではすべて糖尿病に比べ30分ΔIRI/ΔBSは高値を示すが,正常と比べると急性肝炎急性期では低値,回復期には正常化の傾向をみた.また肝硬変では肝疾患のうち最も低い30分ΔIRI/ΔBS値であり,これは糖尿病病態に近いことを示唆する.糖尿病合併肝疾患は糖尿病と肝疾患の間の30分ΔIRI/ΔBS値を示した.肝疾患では30分ΔIRI/ΔBSは耐糖能異常の程度と負の相関関係を示し,糖尿病型は糖尿病合併肝疾患に比べ高値であった.慢性肝炎非活動性の糖尿病型は肝疾患の糖尿病型のうち最も低い30分ΔIRI/ΔBS値を示し,膵β細胞障害の共存が示唆された.糖負荷時のIRI面積(ΣIRI)および血糖面積の比(ΣIRI/ΣBS)では,肝疾患は正常や糖尿病に比し高値を示し,ΣIRIは耐糖能異常の程度と正の相関関係を示し,肝疾患では膵インスリン分泌の亢進が示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.18.615