α-メチルスチレン-アクリロニトリル共重合体の経時平衡化過程と動的粘弾性

ランダム共重合体であり無定形高分子でもあるα-メチルスチレン-アクリロニトリル共重合体 (αMSAN: Tg = 124℃) を用いて, 高分子ガラスの動的粘弾性関数の温度分散の経時平衡化過程 (physical aging) を調べた. αMSANを溶融状態から急冷固化した試料とそれを室温および80℃で熱処理した試料の動的粘弾性関数の温度分散曲線は高温側で合一し, 合一する温度 (TH) は熱処理時間の増加とともに上昇した. この実験結果は熱処理試料には急冷された記憶が残っていること, 熱処理試料は時間とともにその記憶を失いながら熱処理温度での平衡状態に向かって構造を変化していることを示して...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in高分子論文集 Vol. 57; no. 7; pp. 467 - 471
Main Authors 青木, 雄二, 荒木, 修, 升田, 利史郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2000
Online AccessGet full text
ISSN0386-2186
1881-5685
DOI10.1295/koron.57.467

Cover

More Information
Summary:ランダム共重合体であり無定形高分子でもあるα-メチルスチレン-アクリロニトリル共重合体 (αMSAN: Tg = 124℃) を用いて, 高分子ガラスの動的粘弾性関数の温度分散の経時平衡化過程 (physical aging) を調べた. αMSANを溶融状態から急冷固化した試料とそれを室温および80℃で熱処理した試料の動的粘弾性関数の温度分散曲線は高温側で合一し, 合一する温度 (TH) は熱処理時間の増加とともに上昇した. この実験結果は熱処理試料には急冷された記憶が残っていること, 熱処理試料は時間とともにその記憶を失いながら熱処理温度での平衡状態に向かって構造を変化していることを示している. 熱運動できる高分子鎖セグメントのスケールは温度が高いほど大きいので, 熱処理時間の増加とともにTHが高温側に移動したことは高分子鎖構造は高分子鎖セグメントスケールが小さいものから緩和していくことを表していると結論した.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.57.467