噛みしめが重心動揺に及ぼす影響に関する研究

静的な咬合と全身状態との関係についての報告は多数見受けられるが, 動的な咬合の中の等尺性収縮である噛みしめ行動が, 全身に影響を及ぼすのかについて, 明確な見解は得られていない. そこで本研究では, 特に下顎安静時, 咬合時と, 随意性努力で噛みしめを行った場合について, 体調節機構, 特に平衡調節に影響を与えるか否かについて重心動揺を測定し, 検討した後, 以下の結論を得た. 1.閉眼時における下顎安静時と100%噛みしめ時と比較して, 咬合時, 10%噛みしめ時, 50%噛みしめ時の方が, 重心の移動距離および移動速度が小さくなる傾向が認められた. 2.重心移動から求められた各種面積に関し...

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Published in日本顎口腔機能学会雑誌 Vol. 4; no. 2; pp. 133 - 143
Main Authors 益田, 勉, 佐藤, 和朗, 石川, 富士郎, 石亀, 勝, 三浦, 廣行, 古町, 瑞郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎口腔機能学会 31.03.1998
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ISSN1340-9085
1883-986X
DOI10.7144/sgf.4.133

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Summary:静的な咬合と全身状態との関係についての報告は多数見受けられるが, 動的な咬合の中の等尺性収縮である噛みしめ行動が, 全身に影響を及ぼすのかについて, 明確な見解は得られていない. そこで本研究では, 特に下顎安静時, 咬合時と, 随意性努力で噛みしめを行った場合について, 体調節機構, 特に平衡調節に影響を与えるか否かについて重心動揺を測定し, 検討した後, 以下の結論を得た. 1.閉眼時における下顎安静時と100%噛みしめ時と比較して, 咬合時, 10%噛みしめ時, 50%噛みしめ時の方が, 重心の移動距離および移動速度が小さくなる傾向が認められた. 2.重心移動から求められた各種面積に関しては, 1名を除いて咬合時, 10%噛みしめ時, 50%噛みしめ時のいずれかが小さな値を示す傾向がうかがわれた. 3.重心は, 全体的に後方へ偏位する傾向が認められた. 4.下顎安静時と咬合時におけるわずかな顎位の変化量では, 重心動揺の各測定値には有意な差が認められなかった.
ISSN:1340-9085
1883-986X
DOI:10.7144/sgf.4.133