憩室炎を伴った胃癌虫垂転移の1例

胃癌による虫垂転移は稀で,本邦報告例は25例にすぎず,憩室炎を伴った報告例はみられない.症例は73歳,男性で急性虫垂炎もしくは憩室炎による腹膜炎の診断で緊急手術施行.虫垂は高度な炎症があり,腹膜播種を疑わせる白色小結節が散在していた.病理診断は虫垂粘膜下を中心に中分化型腺癌の浸潤を認めた.術後の腫瘍マーカーはCA19-9値は702U/mlと高値であった.術後胃内視鏡検査でBorrmann 3型腫瘍を認め,胃癌の虫垂転移と腹膜播種の診断で1カ月後に胃部分切除術施行. H0P2N2T3で病理診断はmod, se, ly3, v2, n1であった.高齢患者で高度な炎症を示す憩室炎に対して超音波検査と...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 8; pp. 1956 - 1962
Main Authors 藤村, 昌樹, 南, 亮, 河崎, 千尋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2001
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.1956

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Summary:胃癌による虫垂転移は稀で,本邦報告例は25例にすぎず,憩室炎を伴った報告例はみられない.症例は73歳,男性で急性虫垂炎もしくは憩室炎による腹膜炎の診断で緊急手術施行.虫垂は高度な炎症があり,腹膜播種を疑わせる白色小結節が散在していた.病理診断は虫垂粘膜下を中心に中分化型腺癌の浸潤を認めた.術後の腫瘍マーカーはCA19-9値は702U/mlと高値であった.術後胃内視鏡検査でBorrmann 3型腫瘍を認め,胃癌の虫垂転移と腹膜播種の診断で1カ月後に胃部分切除術施行. H0P2N2T3で病理診断はmod, se, ly3, v2, n1であった.高齢患者で高度な炎症を示す憩室炎に対して超音波検査とCT検査で腹腔内精査を行う必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.1956