食道に多発したいわゆる癌肉腫の1例

食道の癌肉腫は比較的稀な疾患であり,いわゆる癌肉腫・偽肉腫・真性癌肉腫の3つに分けられている.今回われわれは胸部中部食道より発生し,計5箇所の病変を有した,いわゆる癌肉腫を経験した.症例は60歳,男性で,嚥下困難を主訴に来院した.食道造影,食道内視鏡にて胸部中部食道に巨大な隆起性腫瘤を認めた.全身状態が不良であったため, 2期的に手術した.胸部食道全摘,胸部リンパ節郭清後,胃管を用いた食道再建術および腹部,頸部リンパ節郭清を行った.摘出標本では,胸部中部食道に13.5×5cmの巨大な腫瘤と2×2 cmの腫瘤が存在した.組織学的進行度はpT 3, pN 2 (+), M 0, PI 0, sta...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 5; pp. 1098 - 1102
Main Authors 田中, 恒夫, 福田, 康彦, 石本, 達郎, 真田, 修, 香川, 直樹, 真次, 康弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2003
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.1098

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Summary:食道の癌肉腫は比較的稀な疾患であり,いわゆる癌肉腫・偽肉腫・真性癌肉腫の3つに分けられている.今回われわれは胸部中部食道より発生し,計5箇所の病変を有した,いわゆる癌肉腫を経験した.症例は60歳,男性で,嚥下困難を主訴に来院した.食道造影,食道内視鏡にて胸部中部食道に巨大な隆起性腫瘤を認めた.全身状態が不良であったため, 2期的に手術した.胸部食道全摘,胸部リンパ節郭清後,胃管を用いた食道再建術および腹部,頸部リンパ節郭清を行った.摘出標本では,胸部中部食道に13.5×5cmの巨大な腫瘤と2×2 cmの腫瘤が存在した.組織学的進行度はpT 3, pN 2 (+), M 0, PI 0, stage IIIであった.病理組織学的所見では, 2箇所の腫瘤部および粘膜内3箇所の病変部は,扁平上皮癌部分と紡錘型細胞よりなる肉腫部分からなり,その両者には移行部分がみられた.いわゆる癌肉腫と診断した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.1098