サイトメガロウイルス感染の関与が疑われた食道潰瘍穿孔の1例

症例は70歳,女性.咽・喉頭痛と摂食障害を主訴に来院.上部消化管内視鏡検査(GIF)で胸部上部食道に巨大潰瘍が認められた.再検時の所見から食道潰瘍穿孔の診断がつき,全身麻酔下に開胸,洗浄・ドレナージを施行した.術後膿胸を併発したものの,第52病日に退院となった.本症例では組織学的診断は得られていないが,周術期から術後遠隔期にわたる血中サイトメガロウイルス(CMV)抗体価の推移から,食道潰瘍の形成と穿孔にCMVの関与が疑われた. CMVによる感染性食道潰瘍はAIDS患者における食道潰瘍(約19%にみられる)の85%を占めるが,このような背景のない患者における発症例が報告されており,健常人の食道潰...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 8; pp. 1777 - 1780
Main Authors 芝木, 泰一郎, 森本, 典雄, 熱田, 義顕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2006
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.1777

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Summary:症例は70歳,女性.咽・喉頭痛と摂食障害を主訴に来院.上部消化管内視鏡検査(GIF)で胸部上部食道に巨大潰瘍が認められた.再検時の所見から食道潰瘍穿孔の診断がつき,全身麻酔下に開胸,洗浄・ドレナージを施行した.術後膿胸を併発したものの,第52病日に退院となった.本症例では組織学的診断は得られていないが,周術期から術後遠隔期にわたる血中サイトメガロウイルス(CMV)抗体価の推移から,食道潰瘍の形成と穿孔にCMVの関与が疑われた. CMVによる感染性食道潰瘍はAIDS患者における食道潰瘍(約19%にみられる)の85%を占めるが,このような背景のない患者における発症例が報告されており,健常人の食道潰瘍を診断するうえで,感染によるものも考慮して診断・治療にあたる必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.1777