腹腔鏡下に診断・治療した子宮広間膜異常裂孔ヘルニアの1例

症例は38歳,女性.虫垂切除術,子宮筋腫手術,および3回の帝王切開術の既往があった.下腹部痛があり,産婦人科で右付属器炎と診断,入院時腹部CT検査で小腸の拡張を認め,外科紹介となった.イレウス管を挿入し,症状は緩快したが,造影検査で骨盤内小腸に狭窄像を呈した. 5度の開腹既往のため今回の手術を拒んでいたが,腹腔鏡下手術を優先するとの方針に納得し,手術を行った.盲腸側より回腸を検索し,約20cmの部位が子宮右側の異常裂孔に嵌入しているのを確認した.腸管損傷なく整復でき,裂孔を縫合閉鎖した.本疾患は,先天異常,妊娠,手術などにより子宮広間膜に生じた異常裂孔をヘルニア門とした内ヘルニアである.近年,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 8; pp. 1907 - 1910
Main Authors 永井, 祐吾, 白井, 康嗣, 馬野, 泰一, 林堂, 元紀, 前田, 恒宏, 高井, 昭洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2006
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.1907

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Summary:症例は38歳,女性.虫垂切除術,子宮筋腫手術,および3回の帝王切開術の既往があった.下腹部痛があり,産婦人科で右付属器炎と診断,入院時腹部CT検査で小腸の拡張を認め,外科紹介となった.イレウス管を挿入し,症状は緩快したが,造影検査で骨盤内小腸に狭窄像を呈した. 5度の開腹既往のため今回の手術を拒んでいたが,腹腔鏡下手術を優先するとの方針に納得し,手術を行った.盲腸側より回腸を検索し,約20cmの部位が子宮右側の異常裂孔に嵌入しているのを確認した.腸管損傷なく整復でき,裂孔を縫合閉鎖した.本疾患は,先天異常,妊娠,手術などにより子宮広間膜に生じた異常裂孔をヘルニア門とした内ヘルニアである.近年,内ヘルニアに対する腹腔鏡下治療報告が増加しているが,腹腔鏡下手術は,本疾患を含めた内ヘルニアに対して有用な場合があり,考慮すべき治療法である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.1907