肝転移を伴った直腸villous tumorの1例
症例は68歳女性.主訴は粘液便・眩量・起立不能.近医受診時,貧血・脱水・軽度低Na血症を呈していた.直腸診で肛門縁直上に全周性の腫瘍を触知した.内視鏡検査では腫瘍表面は白色調の結節状で粘液が付着し,生検結果はgroup IVであった.腹部CT検査で内部不均一な腫瘍が骨盤内を占拠し,肝右葉前区域および肝左葉外側区域内に各々長径約2cmと0.7cmの低吸収域を認めた.貧血・腎機能障害は術前に補正できたが,眩量は改善しなかった.腹仙骨式直腸切断術・肝部分切除術を施行した.直腸腫瘍は長径12cmで,歯状線から15cmの部位に位置していた.肝病巣は軟らかな多房性嚢胞状で粘液を含んでいた.直腸腫瘍の病理組...
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          | Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 8; pp. 2099 - 2103 | 
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| Main Authors | , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本臨床外科学会
    
        25.08.1998
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| Subjects | |
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| ISSN | 1345-2843 1882-5133  | 
| DOI | 10.3919/jjsa.59.2099 | 
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| Summary: | 症例は68歳女性.主訴は粘液便・眩量・起立不能.近医受診時,貧血・脱水・軽度低Na血症を呈していた.直腸診で肛門縁直上に全周性の腫瘍を触知した.内視鏡検査では腫瘍表面は白色調の結節状で粘液が付着し,生検結果はgroup IVであった.腹部CT検査で内部不均一な腫瘍が骨盤内を占拠し,肝右葉前区域および肝左葉外側区域内に各々長径約2cmと0.7cmの低吸収域を認めた.貧血・腎機能障害は術前に補正できたが,眩量は改善しなかった.腹仙骨式直腸切断術・肝部分切除術を施行した.直腸腫瘍は長径12cmで,歯状線から15cmの部位に位置していた.肝病巣は軟らかな多房性嚢胞状で粘液を含んでいた.直腸腫瘍の病理組織型は,一部絨毛腺腫・腺管絨毛腺腫で,大部分は高分化型腺癌であった.肝病巣は直腸癌の転移であった.術後徐々に眩量は消失し,歩行可能となった.本症例の肝転移巣は肉眼的に特徴的であった. | 
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| ISSN: | 1345-2843 1882-5133  | 
| DOI: | 10.3919/jjsa.59.2099 |