軟骨化生を伴った乳癌の1例

症例は72歳,女性. 2002年4月24日に左乳房有痛性腫瘤を主訴として当科を受診した.マンモグラフィー, US, CTにて左乳房全域を占める乳癌が疑われたため,確定診断および治療目的に手術を施行した.術中迅速組織診にて浸潤性乳管癌と診断され,腋窩リンパ節郭清を伴う胸筋温存乳房切除術を行った.切除標本は6.2×5.2cm大で,所々に壊死,出血を認める腫瘍であり,組織学的には充実性腺管癌様の部分と軟骨化生を伴いながら腫瘍細胞が索状~分散性に増生する部分が混在していた.また,この二つの成分は免疫特殊染色所見から同一の上皮性組織由来のものと考えられ,軟骨化生を伴う乳癌と診断された. 骨・軟骨化生を伴...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 8; pp. 1864 - 1867
Main Authors 伊藤, 雅之, 林, 智彦, 太田, 長義, 林, 泰寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2003
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.1864

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Summary:症例は72歳,女性. 2002年4月24日に左乳房有痛性腫瘤を主訴として当科を受診した.マンモグラフィー, US, CTにて左乳房全域を占める乳癌が疑われたため,確定診断および治療目的に手術を施行した.術中迅速組織診にて浸潤性乳管癌と診断され,腋窩リンパ節郭清を伴う胸筋温存乳房切除術を行った.切除標本は6.2×5.2cm大で,所々に壊死,出血を認める腫瘍であり,組織学的には充実性腺管癌様の部分と軟骨化生を伴いながら腫瘍細胞が索状~分散性に増生する部分が混在していた.また,この二つの成分は免疫特殊染色所見から同一の上皮性組織由来のものと考えられ,軟骨化生を伴う乳癌と診断された. 骨・軟骨化生を伴う乳癌は本邦での報告例は約60例と稀な疾患であり,組織学的分類上では浸潤癌の特殊型に属し,比較的大きなものが多い.本症例のような巨大な乳房腫瘤に遭遇した場合,本疾患を念頭に置いて診察,治療を行うべきであると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.1864