肝機能総量判定検査法としてのグルカゴン負荷試験の意義

グルカゴン負荷試験(グ試験)が定量的に肝機能総量を反映しているか否かを明らかにする為に,肝腫瘍の肝切除例(13例),肝に操作を加えていない手術対照例(8例),正常対照例(7例)に対しグ試験を実施した.特に肝切除例中12例には術前後に実施し,反応性の変化と術前CT検査及び切除重量より算出した肝実質切除率との間の相関性を検討した.その結果,(1)肝切除例の術前後における3反応性の変化率と肝実質切除率との間の有意の相関(r=-0.636, p<0.05)を認めた.(2)しかし,術直後の反応性の低下の原因は肝実質量の単純な減少のみではなく,単位肝実質量当りの反応性自体の低下(平均45.7%)にも...

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Published in肝臓 Vol. 26; no. 9; pp. 1146 - 1150
Main Authors 幕内, 雅敏, 岡崎, 伸生, 吉田, 孝宣, 長谷川, 博, 山崎, 晋, 森山, 紀之, 吉野, 正曠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1985
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.26.1146

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Summary:グルカゴン負荷試験(グ試験)が定量的に肝機能総量を反映しているか否かを明らかにする為に,肝腫瘍の肝切除例(13例),肝に操作を加えていない手術対照例(8例),正常対照例(7例)に対しグ試験を実施した.特に肝切除例中12例には術前後に実施し,反応性の変化と術前CT検査及び切除重量より算出した肝実質切除率との間の相関性を検討した.その結果,(1)肝切除例の術前後における3反応性の変化率と肝実質切除率との間の有意の相関(r=-0.636, p<0.05)を認めた.(2)しかし,術直後の反応性の低下の原因は肝実質量の単純な減少のみではなく,単位肝実質量当りの反応性自体の低下(平均45.7%)にもよっていた.(3)手術対照例においては術直後の反応性の低下は認められなかった.以上より,グ試験は肝機能総量判定検査法として有用と推定されるが,本研究の条件下ではいわゆる手術侵襲の関与が大きすぎるので,更に確認のための研究が必要であろう.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.26.1146