後腹膜原発が疑われた無色素性悪性黒色腫の1例

われわれは後腹膜原発が疑われた無色素性悪性黒色腫(amelanotic malignant melanoma: AMM)の1例を経験したので報告する.症例は68歳,男性. 1995年5月より左背部痛を自覚,増強してきたため近医受診.腹部超音波およびCT上,約8cm大の膵体尾部に隣接する腫瘤性病変が認められ当院紹介入院となった.入院時皮膚・眼球・消化管精査で異常所見.腹部CTで腹腔内には多数のリンパ節腫脹もみられたことから,膵上皮性腫瘍のほか,悪性リンパ腫や間葉系腫瘍なども疑われた.確定診断を目的として腹腔鏡下リンパ節生検を施行した.腹腔内には10mm大の小結節が散在しており,これを一部採取し病...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 8; pp. 2032 - 2036
Main Authors 石井, 正紀, 大谷, 泰雄, 名久井, 実, 津久井, 優, 柏木, 宏之, 幕内, 博康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2003
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.2032

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Summary:われわれは後腹膜原発が疑われた無色素性悪性黒色腫(amelanotic malignant melanoma: AMM)の1例を経験したので報告する.症例は68歳,男性. 1995年5月より左背部痛を自覚,増強してきたため近医受診.腹部超音波およびCT上,約8cm大の膵体尾部に隣接する腫瘤性病変が認められ当院紹介入院となった.入院時皮膚・眼球・消化管精査で異常所見.腹部CTで腹腔内には多数のリンパ節腫脹もみられたことから,膵上皮性腫瘍のほか,悪性リンパ腫や間葉系腫瘍なども疑われた.確定診断を目的として腹腔鏡下リンパ節生検を施行した.腹腔内には10mm大の小結節が散在しており,これを一部採取し病理組織診断を行った結果,メラニン顆粒がほとんど認められない無色素性悪性黒色腫の組織像であった.後腹膜原発悪性黒色腫は極めて稀であり,報告例のほとんどが副腎髄質原発である.副腎外後腹膜原発と考えられる悪性黒色腫症例としては,自験例が本邦で4例目である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.2032