麻疹肝炎の1例

症例は25歳,女性.全身倦怠感,発熱のため受診.全身に斑状丘疹,口腔内粘膜にKoplik斑を認め,両肺に湿性ラ音を聴取し異型麻疹と診断し入院.入院時肝機能検査でGOT 982IU/l, GPT 557IU/l, LDH l760IU/lと肝機能異常が指摘された.血清学的にHBs抗原, IgM型HBc抗体, 1gM型HA抗体, HCV抗体は全て陰性であった. IgG型麻疹抗体は陰性であったが, IgM型麻疹抗体が高値陽性であった.斑状丘疹, Koplik斑の改善とともに血清トランスアミナーゼは止常化した.肝生検所見は急性肝炎の回復期像であった.電子顕微鏡所見ではウイルス粒子は検出されず,肝組織よ...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 81; no. 8; pp. 1271 - 1272
Main Authors 方波見, 重雄, 西山, 弘文, 増川, 丈児, 藤田, 勉, 木下, 博, 谷内, 昭, 吉田, 博清, 小玉, 俊典, 東, 直樹, 田巻, 知宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1992
Subjects
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.81.1271

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Summary:症例は25歳,女性.全身倦怠感,発熱のため受診.全身に斑状丘疹,口腔内粘膜にKoplik斑を認め,両肺に湿性ラ音を聴取し異型麻疹と診断し入院.入院時肝機能検査でGOT 982IU/l, GPT 557IU/l, LDH l760IU/lと肝機能異常が指摘された.血清学的にHBs抗原, IgM型HBc抗体, 1gM型HA抗体, HCV抗体は全て陰性であった. IgG型麻疹抗体は陰性であったが, IgM型麻疹抗体が高値陽性であった.斑状丘疹, Koplik斑の改善とともに血清トランスアミナーゼは止常化した.肝生検所見は急性肝炎の回復期像であった.電子顕微鏡所見ではウイルス粒子は検出されず,肝組織よりのウイルス培養でも麻疹ウイルスは検出されなかった.麻疹肝炎はまれな疾患であり肝障害の成因は不明であるが,免疫応答に伴う急性肝炎と考えられた.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.81.1271