腹腔鏡下虫垂切除術の有用性に関する臨床的検討

腹腔鏡下虫垂切除術(LA)の有用性を初期治療成績とアンケート調査によるニーズ評価から検討した.対象は1997年10月から1999年8月までのLA施行62例で,年齢は7~81歳. LAは3孔式で,臍部10/12mm,右側腹部5/7mm,恥毛部上端5/7mmのトラカールを挿入した.虫垂間膜と虫垂根部を1-0絹糸で体内結紮し,超音波凝固切開装置で虫垂を切離し摘出した.開腹移行率は3.2%. 手術時間は壊疽性98±38分(n=15), 非壊疽性65±18分(n=47)であった (p<0.01).合併症として初期にトラカール刺入部出血1例,腹腔内膿瘍1例を経験した.アンケートでは術式として89.0...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 7; pp. 1680 - 1685
Main Authors 高瀬, 靖広, 渋谷, 進, 近森, 文夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.2000
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.1680

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Summary:腹腔鏡下虫垂切除術(LA)の有用性を初期治療成績とアンケート調査によるニーズ評価から検討した.対象は1997年10月から1999年8月までのLA施行62例で,年齢は7~81歳. LAは3孔式で,臍部10/12mm,右側腹部5/7mm,恥毛部上端5/7mmのトラカールを挿入した.虫垂間膜と虫垂根部を1-0絹糸で体内結紮し,超音波凝固切開装置で虫垂を切離し摘出した.開腹移行率は3.2%. 手術時間は壊疽性98±38分(n=15), 非壊疽性65±18分(n=47)であった (p<0.01).合併症として初期にトラカール刺入部出血1例,腹腔内膿瘍1例を経験した.アンケートでは術式として89.0%が開腹虫垂切除よりもLAを選択すると回答した. LAは手技的に確立され,急性虫垂炎に対する1オプションとして十分成立するものと思われた.虫垂切除術の説明に際しては, LAについても必ず説明し患者の治療選択権を尊重すべきである.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.1680