肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術前後の患者末梢血NK活性の変化について

肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術(TAE)が,担癌生体の免疫防御機構に与える影響を検討する為,TAEの前後で患者末梢血NK活性を経時的に測定した.TAE前32.4±12.4% (E/T比40/1)であったNK活性は,TAE後1週間目で24.6±12.2%と有意に低下し,この低下は術後約3週間持続した.次に患者末梢血中のプラスチックシャーレ付着細胞の影響を検討する為,付着細胞を除去するとNK活性が回復する症例が11例中7例(63%)に認められ,付着細胞分画にNK活性に対する抑制活性が存在することが示唆され,TAE後のNK活性の低下の一因と考えられた.さらに付着細胞のNK活性に対する抑制活性はOK43...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 28; no. 9; pp. 1196 - 1201
Main Author 田中, 正俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1987
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.28.1196

Cover

More Information
Summary:肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術(TAE)が,担癌生体の免疫防御機構に与える影響を検討する為,TAEの前後で患者末梢血NK活性を経時的に測定した.TAE前32.4±12.4% (E/T比40/1)であったNK活性は,TAE後1週間目で24.6±12.2%と有意に低下し,この低下は術後約3週間持続した.次に患者末梢血中のプラスチックシャーレ付着細胞の影響を検討する為,付着細胞を除去するとNK活性が回復する症例が11例中7例(63%)に認められ,付着細胞分画にNK活性に対する抑制活性が存在することが示唆され,TAE後のNK活性の低下の一因と考えられた.さらに付着細胞のNK活性に対する抑制活性はOK432投与により消失した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.28.1196