乳癌肝転移症例の検討-切除例を中心に
過去12年間に当科で経験した乳癌肝転移31例(内カルチノイド1例を含む)に対し,臨床病理学的検討を行うとともに,肝切除群5例と,非切除群26例に分け,乳癌肝転移例に対する肝切除術の意義を検討した.その結果, (1)肝転移巣非切除群は肝切除群と比較し, stage, n因子ともに比較的進行した乳癌が多い傾向を認めた. (2)切除群では非切除群より無病期間(DFI)が長い傾向であった. (3)非切除群は肝切除群と比較し,併存再発部位が多く存在していた. (4)肝転移の程度は非切除群で比較的進行した症例が多く認められた. (5)累積生存率をみると,肝切除を施行した群で有意に生存期間の延長を認めた(p...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 7; pp. 1750 - 1753 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.07.1998
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.59.1750 |
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Summary: | 過去12年間に当科で経験した乳癌肝転移31例(内カルチノイド1例を含む)に対し,臨床病理学的検討を行うとともに,肝切除群5例と,非切除群26例に分け,乳癌肝転移例に対する肝切除術の意義を検討した.その結果, (1)肝転移巣非切除群は肝切除群と比較し, stage, n因子ともに比較的進行した乳癌が多い傾向を認めた. (2)切除群では非切除群より無病期間(DFI)が長い傾向であった. (3)非切除群は肝切除群と比較し,併存再発部位が多く存在していた. (4)肝転移の程度は非切除群で比較的進行した症例が多く認められた. (5)累積生存率をみると,肝切除を施行した群で有意に生存期間の延長を認めた(p<0.01). 以上の結果より,一般に乳癌肝転移巣切除の適応は限られるが,切除可能な肝転移巣であれば,肝切除術は有効な治療法であると考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.59.1750 |