内ヘルニアによる小腸損傷から汎発性腹膜炎をきたした小腸GISTの1例
症例は69歳,女性. 3週間前から下腹部膨満感,嘔吐を認め,平成15年5月当院受診.下腹部に腹膜刺激症状を認め,腹部単純CT検査では腹腔内遊離ガス像を認めた.消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した. Treitz靭帯より約1m肛門側小腸の腸間膜対側に約3cmの管外発育型の小腸腫瘍を認めた.腫瘍の先端が約5cm口側の小腸壁へ癒着して形成されたヘルニア門に大部分の肛門側小腸が入り込み内ヘルニア嵌頓となっていた.腫瘍先端と癒着した口側小腸壁が,嵌頓した腸管によって牽引され損傷し,汎発性腹膜炎を呈していた.腫瘍,損傷部の小腸を含めた小腸切除を施行した.病理組織学的所見では紡錘形の腫瘍...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 8; pp. 1800 - 1804 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.08.2006
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.67.1800 |
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Summary: | 症例は69歳,女性. 3週間前から下腹部膨満感,嘔吐を認め,平成15年5月当院受診.下腹部に腹膜刺激症状を認め,腹部単純CT検査では腹腔内遊離ガス像を認めた.消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した. Treitz靭帯より約1m肛門側小腸の腸間膜対側に約3cmの管外発育型の小腸腫瘍を認めた.腫瘍の先端が約5cm口側の小腸壁へ癒着して形成されたヘルニア門に大部分の肛門側小腸が入り込み内ヘルニア嵌頓となっていた.腫瘍先端と癒着した口側小腸壁が,嵌頓した腸管によって牽引され損傷し,汎発性腹膜炎を呈していた.腫瘍,損傷部の小腸を含めた小腸切除を施行した.病理組織学的所見では紡錘形の腫瘍細胞が束状に配列し密に増殖していた.免疫染色ではKIT陽性, CD34陽性, α-smooth muscle actin陽性, S-100蛋白陰性であり,小腸gastrointestinal stromal tumorと診断した.術後2年10カ月が経過し,無再発生存中である. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.67.1800 |