乳癌の左眼脈絡膜転移の1例

臨床的に稀な乳癌の脈絡膜転移症例を経験した.症例は56歳の女性.平成8年近医にて左乳癌に対し乳房温存療法が行われ, 1年後に頸部リンパ節転移, 2年後に局所再発が認められたため化学療法が行われた.さらに平成13年6月多発性肝転移が明らかとなり再度化学療法が行われていたが,同年9月ころより左霧視を自覚し始めたため再度当院紹介となった.左視神経乳頭が軽度腫脹し周囲に漿液性網膜剥離を認めた.超音波上脈絡膜の肥厚を,頭部CT上左眼球後面に径1.3cmの扁平な腫瘍陰影を認め,乳癌の脈絡膜転移の診断となった.患者のQOLを良好に保つために放射線治療の適応も考えられたが,患者が拒否したためそれ以上の治療は行...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 5; pp. 1082 - 1085
Main Authors 枝園, 忠彦, 土井原, 博義, 清水, 信義, 平, 成人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2003
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.1082

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Summary:臨床的に稀な乳癌の脈絡膜転移症例を経験した.症例は56歳の女性.平成8年近医にて左乳癌に対し乳房温存療法が行われ, 1年後に頸部リンパ節転移, 2年後に局所再発が認められたため化学療法が行われた.さらに平成13年6月多発性肝転移が明らかとなり再度化学療法が行われていたが,同年9月ころより左霧視を自覚し始めたため再度当院紹介となった.左視神経乳頭が軽度腫脹し周囲に漿液性網膜剥離を認めた.超音波上脈絡膜の肥厚を,頭部CT上左眼球後面に径1.3cmの扁平な腫瘍陰影を認め,乳癌の脈絡膜転移の診断となった.患者のQOLを良好に保つために放射線治療の適応も考えられたが,患者が拒否したためそれ以上の治療は行われなかった.乳癌治療の進歩による生存期間の延長により今後脈絡膜転移の発見が増加すると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.1082