慢性透析患者に対する開心術症例の検討

開心術を施行した慢性透析患者の8例について周術期管理を中心に検討した.手術死亡はなく, 2例を術後34日目, 54日目に合併症で失ったが,腎不全死や血液透析の合併症による死亡はなかった.周術期の水分電解質管理は,術前は連日の血液透析により,循環動態が許すかぎり体重をdry sideに維持するように心がけた.初期の例を除き,術前に十分な血液透析を行い,かつ体外循環中の限外濾過装置による過剰な水分電解質の排除,心筋保護液の回路内混入防止等の注意により,大部分の症例で術中透析は不要であった.術後管理では持続的血液濾過透析を術直後から導入することにより,体液電解質アンバランス,代謝性アシドーシス,高窒...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 6; pp. 1477 - 1483
Main Authors 高木, 正剛, 山田, 卓史, 釘宮, 敏定, 宮川, 尚孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.06.1998
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.59.1477

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Summary:開心術を施行した慢性透析患者の8例について周術期管理を中心に検討した.手術死亡はなく, 2例を術後34日目, 54日目に合併症で失ったが,腎不全死や血液透析の合併症による死亡はなかった.周術期の水分電解質管理は,術前は連日の血液透析により,循環動態が許すかぎり体重をdry sideに維持するように心がけた.初期の例を除き,術前に十分な血液透析を行い,かつ体外循環中の限外濾過装置による過剰な水分電解質の排除,心筋保護液の回路内混入防止等の注意により,大部分の症例で術中透析は不要であった.術後管理では持続的血液濾過透析を術直後から導入することにより,体液電解質アンバランス,代謝性アシドーシス,高窒素血症などを良好にコントロールできた.慢性透析患者の開心術にさいしては,病態の特殊性をよく理解したきめ細かい患者管理が重要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.1477