男性乳房Paget病の1例

男性乳房Paget病を経験したので報告する.症例は65歳の男性で,右乳頭部腫大とびらんで来院した.びらん部の擦過細胞診はClass Vで, Paget細胞も認めた.乳腺組織に腫瘤は認めず,乳頭部限局の乳癌の診断のもとに,乳房摘出術および腋窩リンパ節郭清を行った.切除標本にて病巣は乳頭部びらん部より深さ4mmのみに限局し,大きさは12×12×4mmであった.乳腺組織に癌細胞は認めなかった.組織学的には充実腺管癌であった.また,表皮の基底層に明るい胞体をもったPaget細胞を認めた.本症例は,乳腺に腫瘤を認めなかったが,乳頭部に腫瘤を形成し,乳管外浸潤が著明で,いわゆるPagetoid癌と考えられ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 7; pp. 1712 - 1714
Main Authors 宮崎, 純一, 黒田, 宏昭, 山田, 雅史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.2000
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.1712

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Summary:男性乳房Paget病を経験したので報告する.症例は65歳の男性で,右乳頭部腫大とびらんで来院した.びらん部の擦過細胞診はClass Vで, Paget細胞も認めた.乳腺組織に腫瘤は認めず,乳頭部限局の乳癌の診断のもとに,乳房摘出術および腋窩リンパ節郭清を行った.切除標本にて病巣は乳頭部びらん部より深さ4mmのみに限局し,大きさは12×12×4mmであった.乳腺組織に癌細胞は認めなかった.組織学的には充実腺管癌であった.また,表皮の基底層に明るい胞体をもったPaget細胞を認めた.本症例は,乳腺に腫瘤を認めなかったが,乳頭部に腫瘤を形成し,乳管外浸潤が著明で,いわゆるPagetoid癌と考えられた.リンパ管内への浸潤も認めており,今後十分なる経過観察が必要と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.1712