腸間膜から発生した粘液性嚢胞腺腫の1例

症例は51歳,女性,右下腹部痛を主訴に近医を受診した.腹部CTで回盲部から腸間膜にかけて内部が均一で造影効果を認めない約10cm径の嚢胞性腫瘍を指摘され,当科へ紹介入院となった.大腸内視鏡検査では粘膜病変や壁外性の圧排所見はみられなかった.血管造影検査では回盲部の無血管領域が認められた.以上の所見から腸間膜リンパ管腫の疑いで,開腹手術を施行した.腫瘍は9×8×7cm径で回盲部の腸間膜に存在し,回腸と高度に癒着しており,回腸100cmを含む回盲部切除術を施行した.切除標本は一部に多房性部分の混在する嚢胞性腫瘍で,緑色粘液性の内溶液を含んでいた.病理組織学的には粘液嚢胞腺腫と診断され,免疫染色でE...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 9; pp. 2296 - 2300
Main Authors 久留島, 徹大, 佐々木, 睦男, 木村, 憲央, 諸橋, 一, 村田, 暁彦, 小山, 基
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.09.2005
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.2296

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Summary:症例は51歳,女性,右下腹部痛を主訴に近医を受診した.腹部CTで回盲部から腸間膜にかけて内部が均一で造影効果を認めない約10cm径の嚢胞性腫瘍を指摘され,当科へ紹介入院となった.大腸内視鏡検査では粘膜病変や壁外性の圧排所見はみられなかった.血管造影検査では回盲部の無血管領域が認められた.以上の所見から腸間膜リンパ管腫の疑いで,開腹手術を施行した.腫瘍は9×8×7cm径で回盲部の腸間膜に存在し,回腸と高度に癒着しており,回腸100cmを含む回盲部切除術を施行した.切除標本は一部に多房性部分の混在する嚢胞性腫瘍で,緑色粘液性の内溶液を含んでいた.病理組織学的には粘液嚢胞腺腫と診断され,免疫染色でER, PgR, CA125が陽性であり,女性生殖器由来の腫瘍と推測された.その由来としては異所性卵巣や二次性ミュラー管組織が考えられた.非常に稀な腸間膜原発の粘液性嚢胞腺腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.2296