腎細胞癌結腸孤立性転移の1例
腎細胞癌の転移巣は肺,骨,肝に多く,結腸転移の報告は過去10年間で自験例を含め5例ときわめて稀である.今回われわれはこの稀な転移例を切除し得たので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は67歳男性.平成5年に腎細胞癌にて右腎摘術施行.平成9年5月便通異常にて近医受診し便潜血陽性.注腸検査にてS状結腸に腫瘤陰影を指摘され当院紹介.入院時検査では白血球数高値以外,異常値は認めず.下部内視鏡を施行し,生検ではnecrosisおよびgranulation tissueのみで悪性所見は得られなかった.血管造影ではS状結腸動脈末梢に腫瘍濃染を認めた.手術はS状結腸切除+D3郭清を施行.病理組織では腎細胞癌...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 7; pp. 1874 - 1877 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.07.1999
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.60.1874 |
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Summary: | 腎細胞癌の転移巣は肺,骨,肝に多く,結腸転移の報告は過去10年間で自験例を含め5例ときわめて稀である.今回われわれはこの稀な転移例を切除し得たので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は67歳男性.平成5年に腎細胞癌にて右腎摘術施行.平成9年5月便通異常にて近医受診し便潜血陽性.注腸検査にてS状結腸に腫瘤陰影を指摘され当院紹介.入院時検査では白血球数高値以外,異常値は認めず.下部内視鏡を施行し,生検ではnecrosisおよびgranulation tissueのみで悪性所見は得られなかった.血管造影ではS状結腸動脈末梢に腫瘍濃染を認めた.手術はS状結腸切除+D3郭清を施行.病理組織では腎細胞癌の転移と診断された.リンパ節転移は認めず,患者は再切除後11カ月を経過し,再発の徴候はない.本症例では再発までの期間が長く,また分化度も高く,良好な予後が期待されるが,今後さらに慎重な経過観察が必要と思われる. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.60.1874 |