術前細胞診にて診断した乳腺matrix-producing carcinomaの1例
症例は48歳,女性.検診にて左乳房腫瘤を指摘され近医を受診し乳癌を疑われ,当科紹介となった.触診上右乳房B領域に5.3×3.0cmの腫瘤を認めた.腫瘤の境界は比較的明瞭でdimplingは認めず,胸筋固定はなく,同側腋窩に腫大したリンパ節を触知した.穿刺吸引細胞診にて低分化型の乳管癌細胞の他に漸次移行像を欠く軟骨化生腫瘍細胞を認め, Class V, matrix-producing carcinoma (MPC)と診断した. 9月30日Bt+Axを施行した.組織学所見も細胞像と同様でMPCと診断した.腋窩リンパ節はLevel Iの1個に転移を認めた. 骨・軟骨化生を伴う乳癌は浸潤癌の特殊型に...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 8; pp. 1842 - 1846 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.08.2003
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.64.1842 |
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Summary: | 症例は48歳,女性.検診にて左乳房腫瘤を指摘され近医を受診し乳癌を疑われ,当科紹介となった.触診上右乳房B領域に5.3×3.0cmの腫瘤を認めた.腫瘤の境界は比較的明瞭でdimplingは認めず,胸筋固定はなく,同側腋窩に腫大したリンパ節を触知した.穿刺吸引細胞診にて低分化型の乳管癌細胞の他に漸次移行像を欠く軟骨化生腫瘍細胞を認め, Class V, matrix-producing carcinoma (MPC)と診断した. 9月30日Bt+Axを施行した.組織学所見も細胞像と同様でMPCと診断した.腋窩リンパ節はLevel Iの1個に転移を認めた. 骨・軟骨化生を伴う乳癌は浸潤癌の特殊型に分類されており,全乳癌のうち約0.003~0.12%と極めて稀な疾患である.詳細の判明した骨・軟骨化生乳癌56例を集計し,その1亜型であるMPCと他の亜型群との比較を中心に臨床病理学的特徴を検討した. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.64.1842 |