横隔膜上巨大食道憩室症の1例

症例は50歳女性.食物停滞感により,平成2年より食道憩室症と診断されていた.平成8年9月頃より嚥下困難,吐血も訴え来院,食道造影検査で横隔膜上の胸部下部食道左壁に6×5cmの巨大な憩室を認めたため,手術適応と考えた.左開胸下に食道拡張用バルーンおよびEndo-GIAを有効に使用して憩室を切除した.病理組織学的所見では固有筋層はほとんど線維性結合織に置換され,島状に散見されるのみで真性憩室であり,悪性所見は認められなかった. 食道憩室はほとんど無症状で上部消化管造影で偶然発見されることがほとんどで造影上5×5cm以上の巨大憩室は稀である.そのうち治療の対象となるのは症状を有したりあるいは悪性化の...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 7; pp. 1816 - 1819
Main Authors 長堀, 順二, 佐藤, 宏彦, 河崎, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.1999
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.60.1816

Cover

More Information
Summary:症例は50歳女性.食物停滞感により,平成2年より食道憩室症と診断されていた.平成8年9月頃より嚥下困難,吐血も訴え来院,食道造影検査で横隔膜上の胸部下部食道左壁に6×5cmの巨大な憩室を認めたため,手術適応と考えた.左開胸下に食道拡張用バルーンおよびEndo-GIAを有効に使用して憩室を切除した.病理組織学的所見では固有筋層はほとんど線維性結合織に置換され,島状に散見されるのみで真性憩室であり,悪性所見は認められなかった. 食道憩室はほとんど無症状で上部消化管造影で偶然発見されることがほとんどで造影上5×5cm以上の巨大憩室は稀である.そのうち治療の対象となるのは症状を有したりあるいは悪性化の懸念がある場合に限られる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.60.1816