高齢者子宮留膿腫穿孔の1例

症例は, 79歳女性.小児麻痺・脳梗塞にて両半身不全麻痺であり,老健施設入寮中であった.発熱・経口摂取不良にて当院内科入院となり,抗生剤等にて一旦軽快するも再燃し,嘔吐・腹痛を伴うようになった.精査にて子宮留膿腫を伴う汎発性腹膜炎と診断され,当科紹介となったが,紹介時には,呼吸循環状態不良でありショックを呈していた.同日緊急開腹手術を行い,子宮留膿腫の穿孔であった.麻酔導入時に血圧の著明な低下を認めたため,手術は腹腔内洗浄,および腹腔・経腹的子宮ドレナージとした.術後は軽快し,経腔的子宮ドレナージを行ったのち,軽快退院し再発を認めていない.子宮留膿腫の穿孔は本邦報告54例と比較的稀であり,高齢...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 6; pp. 1650 - 1653
Main Authors 國嶋, 憲, 西植, 隆, 米山, 千尋, 渡辺, 信介, 加藤, 誠, 谷, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.06.1998
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.59.1650

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Summary:症例は, 79歳女性.小児麻痺・脳梗塞にて両半身不全麻痺であり,老健施設入寮中であった.発熱・経口摂取不良にて当院内科入院となり,抗生剤等にて一旦軽快するも再燃し,嘔吐・腹痛を伴うようになった.精査にて子宮留膿腫を伴う汎発性腹膜炎と診断され,当科紹介となったが,紹介時には,呼吸循環状態不良でありショックを呈していた.同日緊急開腹手術を行い,子宮留膿腫の穿孔であった.麻酔導入時に血圧の著明な低下を認めたため,手術は腹腔内洗浄,および腹腔・経腹的子宮ドレナージとした.術後は軽快し,経腔的子宮ドレナージを行ったのち,軽快退院し再発を認めていない.子宮留膿腫の穿孔は本邦報告54例と比較的稀であり,高齢者に多いこともあり,重症化してから気付かれる事も少なくない.治療としては,非穿孔例では経腔ドレナージを,穿孔例では子宮全摘が望ましいとされているが,本症例のような重症例では,ドレナージ手術の後に経膣ドレナージを付加するというのも有用であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.1650