貧血で発見された小腸血管腫の1例

比較的稀な小腸血管腫の1例を経験したので報告する.症例は63歳女性.主訴は貧血.平成5年頃より貧血を認め近医にて胃および大腸の検査を行うも異常ないため,貧血の治療を行っていた.平成8年再び貧血増強し,経口小腸造影にて回腸に異常を認め当科紹介入院.小腸ゾンデ法にて回腸に結節状の隆起性病変を認め, CTでは小腸に辺縁明瞭な石灰化を有する分葉状腫瘤を認めた.小腸腫瘍の診断で手術施行.回腸末端より約170cm口側回腸に約3cmの軟かい腫瘤を触知し,漿膜面には血管の怒張を認め,肉眼的に血管腫を疑い回腸部分切除術を行った.病理組織診断は小腸血管腫であった.貧血症例で食道,胃,十二指腸および大腸に異常なけれ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 5; pp. 1223 - 1227
Main Authors 鈴木, 稔, 才津, 秀樹, 野中, 道泰, 富川, 盛雅, 楠本, 哲也, 矢加部, 茂, 朔, 元則, 池尻, 公二, 吉田, 晃治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2000
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.1223

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Summary:比較的稀な小腸血管腫の1例を経験したので報告する.症例は63歳女性.主訴は貧血.平成5年頃より貧血を認め近医にて胃および大腸の検査を行うも異常ないため,貧血の治療を行っていた.平成8年再び貧血増強し,経口小腸造影にて回腸に異常を認め当科紹介入院.小腸ゾンデ法にて回腸に結節状の隆起性病変を認め, CTでは小腸に辺縁明瞭な石灰化を有する分葉状腫瘤を認めた.小腸腫瘍の診断で手術施行.回腸末端より約170cm口側回腸に約3cmの軟かい腫瘤を触知し,漿膜面には血管の怒張を認め,肉眼的に血管腫を疑い回腸部分切除術を行った.病理組織診断は小腸血管腫であった.貧血症例で食道,胃,十二指腸および大腸に異常なければ,本症も念頭において小腸の精査が必要であると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.1223