肝肺転移を生じた腹壁発生malignant fibrous histiocytomaの1例

今回われわれは非常に稀な腹壁に発生した悪性線維性組織球腫(以下MFHと略す)を経験した.症例は49歳,男性.心窩部腹壁皮下に直径約13cmの腫瘤を認めた.術前の諸検査(CT・ 超音波・ MRI)にて,腫瘤は腹直筋に深く浸潤していたが,明らかな肝または他臓器への転移は認めなかった.術前の針生検にてsarcomaの診断を得た.腹壁腫瘤の摘除術に際し,腹腔内を検索したところ,術前明らかでなかった肝臓の数個の転移を認め(S4, S2), 肝部分切除術を追加した.術後の病理組織学的検査により, MFHおよびその肝転移と確定診断された.術後多発性肝肺転移を認め,肝転移に対して肝動脈よりの塞栓術(TAE)を...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 6; pp. 1618 - 1621
Main Authors 山本, 克彦, 小林, 豊樹, 中野, 博重, 中尾, 武, 金廣, 裕道, 中島, 祥介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.06.2000
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.1618

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Summary:今回われわれは非常に稀な腹壁に発生した悪性線維性組織球腫(以下MFHと略す)を経験した.症例は49歳,男性.心窩部腹壁皮下に直径約13cmの腫瘤を認めた.術前の諸検査(CT・ 超音波・ MRI)にて,腫瘤は腹直筋に深く浸潤していたが,明らかな肝または他臓器への転移は認めなかった.術前の針生検にてsarcomaの診断を得た.腹壁腫瘤の摘除術に際し,腹腔内を検索したところ,術前明らかでなかった肝臓の数個の転移を認め(S4, S2), 肝部分切除術を追加した.術後の病理組織学的検査により, MFHおよびその肝転移と確定診断された.術後多発性肝肺転移を認め,肝転移に対して肝動脈よりの塞栓術(TAE)を施行したが,肝不全となり死亡した.自験例の肝転移経路としては肝鎌状間膜近傍に転移巣を認めたことより,大循環を経由して生じた可能性よりも,腹直筋経由のリンパ行性肝転移の可能性が考えられる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.1618