特発性血小板減少性紫斑病を合併した食道癌の1例
症例は67歳,男性.近医にて食道癌と診断され,当科紹介となる.入院時,血小板数は6.2×104/mm3と減少しており, PAIgGも軽度上昇していたため,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と診断した.術前,免疫グロプリン大量投与(286mg/kg/day×5日間)を行ったところ,血小板数は, 16.7×104/mm3と増加し,食道亜全摘術と脾摘術を施行した.術後,血小板数は一旦5.3×104/mm3まで低下したが,以降回復し,退院まで10万以上を保った.開胸開腹を必要とする食道癌の手術は,侵襲が大きく,術中術後の止血管理は非常に重要であるが,術前免疫グロブリン大量投与により安全に施行しえた,短...
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| Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 6; pp. 1537 - 1541 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本臨床外科学会
25.06.1999
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| Subjects | |
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| ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
| DOI | 10.3919/jjsa.60.1537 |
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| Summary: | 症例は67歳,男性.近医にて食道癌と診断され,当科紹介となる.入院時,血小板数は6.2×104/mm3と減少しており, PAIgGも軽度上昇していたため,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と診断した.術前,免疫グロプリン大量投与(286mg/kg/day×5日間)を行ったところ,血小板数は, 16.7×104/mm3と増加し,食道亜全摘術と脾摘術を施行した.術後,血小板数は一旦5.3×104/mm3まで低下したが,以降回復し,退院まで10万以上を保った.開胸開腹を必要とする食道癌の手術は,侵襲が大きく,術中術後の止血管理は非常に重要であるが,術前免疫グロブリン大量投与により安全に施行しえた,短期間に血小板を増加させ,副作用の少ない免疫グロブリン大量療法は, ITP合併食道癌患者の術前管理としても極めて有用であると考えられた. |
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| ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
| DOI: | 10.3919/jjsa.60.1537 |