肝細胞癌切除例におけるリンパ節転移陽性例の検討

1983年1月より1995年12月までの肝細胞癌切除例951例を対象として,術中にリンパ節腫大を認め,リンパ節郭清または肝十二指腸間膜および膵上縁に限りリンパ節のサンプリングを行った症例の,リンパ節転移陽性例について検討した.郭清およびサンプリングを行った症例は57例であり,リンパ節転移陽性例は7例と極めて少なかった,リンパ節転移陽性例の臨床病理学的特徴は,原発巣の最大腫瘍径は全例4cm以上で,他臓器進展した症例を3例認めた.転移リンパ節は8番12番に多く,術前にCEA値の上昇を5例に認めた.原発巣の病理組織分類上7例全例に低分化型肝細胞癌を認め,グリソン鞘内の間質浸潤が高度であった,肝硬変例...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 7; pp. 1745 - 1750
Main Authors 片桐, 聡, 大坪, 毅人, 小林, 秀規, 次田, 正, 鈴木, 隆文, 竹並, 和之, 秋山, 和宏, 高崎, 健, 山本, 雅一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.1999
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.60.1745

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Summary:1983年1月より1995年12月までの肝細胞癌切除例951例を対象として,術中にリンパ節腫大を認め,リンパ節郭清または肝十二指腸間膜および膵上縁に限りリンパ節のサンプリングを行った症例の,リンパ節転移陽性例について検討した.郭清およびサンプリングを行った症例は57例であり,リンパ節転移陽性例は7例と極めて少なかった,リンパ節転移陽性例の臨床病理学的特徴は,原発巣の最大腫瘍径は全例4cm以上で,他臓器進展した症例を3例認めた.転移リンパ節は8番12番に多く,術前にCEA値の上昇を5例に認めた.原発巣の病理組織分類上7例全例に低分化型肝細胞癌を認め,グリソン鞘内の間質浸潤が高度であった,肝硬変例は1例のみであった.さらにリンパ節転移陽性例に特徴的な因子である術前CEA値,主腫瘍の異型度,非癌肝の性状では,リンパ節転移陰性例との間で両者に有意差を認めた (p<0.05).
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.60.1745