胸部単純X線写真が診断に有用であった右主気管支断裂損傷の1例

気管・気管支断裂損傷は, 鈍的胸部外傷の中で頻度は少ないが, 致命率は高い.われわれは, 受傷初期の胸部単純X線写真が診断に有用であった, 18歳男性のバイク外傷による右主気管支断裂損傷 (日本外傷学会, 気管, 気管支損傷分類Ib) の1例を経験した.胸部単純X線写真上, tracheobronchial stripeの描出, 進行性の縦走する気管と右主気管支周囲の透亮像, continuous diaphragm sign, 右側のNaclerio's V-signを認め, これらは縦隔気腫を示唆する所見であった.さらに, 奇静脈近傍の右主気管支陰影は不鮮明化し, その外側に血腫...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 16; no. 1; pp. 85 - 89
Main Authors 西海, 昇, 濱本, 篤, 加賀, 基知三, 井上, 宏司, 藤森, 賢, 岩崎, 正之, 米谷, 文雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2002
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.16.85

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Summary:気管・気管支断裂損傷は, 鈍的胸部外傷の中で頻度は少ないが, 致命率は高い.われわれは, 受傷初期の胸部単純X線写真が診断に有用であった, 18歳男性のバイク外傷による右主気管支断裂損傷 (日本外傷学会, 気管, 気管支損傷分類Ib) の1例を経験した.胸部単純X線写真上, tracheobronchial stripeの描出, 進行性の縦走する気管と右主気管支周囲の透亮像, continuous diaphragm sign, 右側のNaclerio's V-signを認め, これらは縦隔気腫を示唆する所見であった.さらに, 奇静脈近傍の右主気管支陰影は不鮮明化し, その外側に血腫像を認めた.以上の所見から右主気管支断裂損傷が示唆された.手術は損傷部位を直接縫合閉鎖し, 救命した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.16.85