胃粘膜下膿瘍を合併した胃迷入膵の1例

胃粘膜下膿瘍と潰瘍性変化を合併し複雑な組織像を呈した胃迷入膵の1例を経験したので報告する.患者は47歳,男性.飲酒,刺身食後に蕁麻疹が出現し近医を受診.胃内視鏡検査にて胃病変を認められ,当院を紹介された.胃X線検査,胃内視鏡検査で胃体上部を中心にヒダの腫大と壁の硬化を伴うなだらかな隆起性病変を認めた.腹部MRI検査では胃壁の肥厚像がみられたが, Gaシンチで集積像を得られなかった.上記の術前検査所見および術中の肉眼・触診所見より4型胃癌を強く疑い,リンパ節郭清を伴う胃全摘術を施行した.切除標本では,胃体上部小蛮を中心に粘膜側に潰瘍性変化を合併する粘膜下腫瘍を認めた.割面は淡黄色調の腫瘤と周囲の...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 9; pp. 2331 - 2334
Main Authors 小林, 和真, 井沢, 邦英, 溝江, 昭彦, 山口, 淳三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.09.2000
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.2331

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Summary:胃粘膜下膿瘍と潰瘍性変化を合併し複雑な組織像を呈した胃迷入膵の1例を経験したので報告する.患者は47歳,男性.飲酒,刺身食後に蕁麻疹が出現し近医を受診.胃内視鏡検査にて胃病変を認められ,当院を紹介された.胃X線検査,胃内視鏡検査で胃体上部を中心にヒダの腫大と壁の硬化を伴うなだらかな隆起性病変を認めた.腹部MRI検査では胃壁の肥厚像がみられたが, Gaシンチで集積像を得られなかった.上記の術前検査所見および術中の肉眼・触診所見より4型胃癌を強く疑い,リンパ節郭清を伴う胃全摘術を施行した.切除標本では,胃体上部小蛮を中心に粘膜側に潰瘍性変化を合併する粘膜下腫瘍を認めた.割面は淡黄色調の腫瘤と周囲の線維性変化を広範囲に認めた.組織学的には,周囲に胃粘膜下膿瘍を形成した胃迷入膵組織と判明し,悪性所見は認められなかった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.2331