二相性のMRI像を呈した気管支嚢胞の1例

症例は57歳,女性.検診の胸部X線において縦隔の異常陰影を指摘された. MRIにおいて腫瘍はT1, T2において筋組織より高信号であるが,二相性を呈していた. VATSで腫瘍を摘出した.腫瘍は4.5×3.8×2.3cmで重さ30g. 薄い皮膜を有する単房性嚢胞で, H. E.染色において,嚢胞壁は線維性で一部に軟骨,気管支腺様の構造を呈し気管支嚢胞と診断された.腫瘍内容の腹側はゼリー状で無細胞性,背側はペースト状で変形した赤血球を塊状に認めた.二相性を呈した機序として,嚢胞の内腔にはまず腹側に認めたゼリー状成分のみが充満しており,嚢胞壁背側より嚢胞内出血が起こり背側にヘモジデリンが沈着したため...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 8; pp. 1862 - 1866
Main Authors 村瀬, 勝俊, 金武, 和人, 岩田, 尚, 日野, 晃紹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2001
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.1862

Cover

More Information
Summary:症例は57歳,女性.検診の胸部X線において縦隔の異常陰影を指摘された. MRIにおいて腫瘍はT1, T2において筋組織より高信号であるが,二相性を呈していた. VATSで腫瘍を摘出した.腫瘍は4.5×3.8×2.3cmで重さ30g. 薄い皮膜を有する単房性嚢胞で, H. E.染色において,嚢胞壁は線維性で一部に軟骨,気管支腺様の構造を呈し気管支嚢胞と診断された.腫瘍内容の腹側はゼリー状で無細胞性,背側はペースト状で変形した赤血球を塊状に認めた.二相性を呈した機序として,嚢胞の内腔にはまず腹側に認めたゼリー状成分のみが充満しており,嚢胞壁背側より嚢胞内出血が起こり背側にヘモジデリンが沈着したためと考えられた.術後経過は良好で,第14病日退院となった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.1862