自殺企図による腐食性食道炎に対し手術治療を施行した1例

症例は25歳,男性. 2000年5月28日,自殺企図にて薬剤服用.近医にて救命されたが,腐食性食道狭窄にて経口摂取不可能な状態で当院へ紹介となった.食道造影では頸胸境界部の一部を除いた食道ほぼ全長および下咽頭に狭窄像を認めた.内視鏡下のバルーン拡張術を試みたが,食道壁の穿孔を起こし内科的治療は無理と判断した.手術に際し喉頭を保存するため,下咽頭と頸部食道の狭窄は残す形での切除再建を行い,術後に狭窄部に対しバルーン拡張術を行う方針とした. 2001年2月28日,右開胸開腹食道亜全摘,胸腔内胃管再建,腸瘻造設術を施行した.術後に下咽頭狭窄部と食道胃管吻合部のバルーン拡張術を施行し,経口摂取可能な状...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 8; pp. 2107 - 2111
Main Authors 小林, 陽一郎, 鈴木, 和志, 宮田, 完志, 米山, 文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2004
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.2107

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Summary:症例は25歳,男性. 2000年5月28日,自殺企図にて薬剤服用.近医にて救命されたが,腐食性食道狭窄にて経口摂取不可能な状態で当院へ紹介となった.食道造影では頸胸境界部の一部を除いた食道ほぼ全長および下咽頭に狭窄像を認めた.内視鏡下のバルーン拡張術を試みたが,食道壁の穿孔を起こし内科的治療は無理と判断した.手術に際し喉頭を保存するため,下咽頭と頸部食道の狭窄は残す形での切除再建を行い,術後に狭窄部に対しバルーン拡張術を行う方針とした. 2001年2月28日,右開胸開腹食道亜全摘,胸腔内胃管再建,腸瘻造設術を施行した.術後に下咽頭狭窄部と食道胃管吻合部のバルーン拡張術を施行し,経口摂取可能な状態となった.腐食性食道炎,食道狭窄は多くが自殺企図による受傷であり,患者の精神状態に対する配慮の下に,狭窄の部位・程度・症状に合わせた治療方針決定が求められる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2107