虫垂粘液嚢胞腺癌の2例

虫垂粘液嚢胞腺癌は比較的稀な疾患である.従来,その発見は破裂による腹膜偽粘液腫であることが多かった.しかし最近の画像診断の発達とともに未破裂の状態で発見されることが多くなった. われわれは最近,虫垂粘液嚢胞腺癌の2症例を経験した. 1例は62歳女性で術前に超音波,CT検査およびMRI検査などで確診を得て,一部盲腸を含めた虫垂切除術を行い良好な結果を得た. 2例目は80歳男性でイレウス症状著明にて第4病日に緊急手術を施行した未破裂の虫垂粘液嚢胞腺癌であった.回腸に一部浸潤し,これが原因で腸閉塞症状を惹起していた症例であった.本症例は術後3日目に肺炎を合併,気管切開,人工呼吸器装着などにより,術後...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 8; pp. 1966 - 1969
Main Authors 長谷, 泰司, 竹原, めぐみ, 服部, 淳夫, 池田, 雄祐, 数井, 啓蔵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2001
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.1966

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Summary:虫垂粘液嚢胞腺癌は比較的稀な疾患である.従来,その発見は破裂による腹膜偽粘液腫であることが多かった.しかし最近の画像診断の発達とともに未破裂の状態で発見されることが多くなった. われわれは最近,虫垂粘液嚢胞腺癌の2症例を経験した. 1例は62歳女性で術前に超音波,CT検査およびMRI検査などで確診を得て,一部盲腸を含めた虫垂切除術を行い良好な結果を得た. 2例目は80歳男性でイレウス症状著明にて第4病日に緊急手術を施行した未破裂の虫垂粘液嚢胞腺癌であった.回腸に一部浸潤し,これが原因で腸閉塞症状を惹起していた症例であった.本症例は術後3日目に肺炎を合併,気管切開,人工呼吸器装着などにより,術後1.5カ月後にはほぼ回復し,経口摂取も一時可能になったが,その後再び肺炎を発症し,術後93日目に死亡した.以上2例につき若干の考察を加え報告した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.1966