腋窩リンパ節炎と紛らわしかった副乳癌の1例

副乳癌は乳癌の中でも非常に稀な疾患である.今回,左腋窩部のリンパ節炎と紛らわしかった副乳癌を経験したので報告する. 症例は44歳女性で,左腋窩部の有痛性腫瘤を主訴として近医を受診し,精査目的で当科紹介された.リンパ節炎と診断し腫瘤を生検したところ,病理組織学的に髄様癌とその隣接部に乳腺組織を認めたため副乳癌を疑い,後日,手術創皮膚を含めた左腋窩の広範切除と左乳腺のaxillary tail部分切除および同側腋窩リンパ節郭清術を施行した.摘出組織内には癌腫の遺残はなく,また原乳腺との連続性を示唆する所見はみられず副乳癌と確定診断した.リンパ節転移は無かったため,局所への放射線療法のみ施行し,現在...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 7; pp. 1722 - 1726
Main Authors 平井, 健清, 岡崎, 誠, 金, 成泰, 西原, 政好, 藤本, 高義, 伊澤, 光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.2000
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.1722

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Summary:副乳癌は乳癌の中でも非常に稀な疾患である.今回,左腋窩部のリンパ節炎と紛らわしかった副乳癌を経験したので報告する. 症例は44歳女性で,左腋窩部の有痛性腫瘤を主訴として近医を受診し,精査目的で当科紹介された.リンパ節炎と診断し腫瘤を生検したところ,病理組織学的に髄様癌とその隣接部に乳腺組織を認めたため副乳癌を疑い,後日,手術創皮膚を含めた左腋窩の広範切除と左乳腺のaxillary tail部分切除および同側腋窩リンパ節郭清術を施行した.摘出組織内には癌腫の遺残はなく,また原乳腺との連続性を示唆する所見はみられず副乳癌と確定診断した.リンパ節転移は無かったため,局所への放射線療法のみ施行し,現在外来にて経過観察中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.1722