CTにて局所性脂肪浸潤を示した典型的アルコール性肝炎の1女性例
肝への局所性脂肪浸潤はCTの普及に伴い近年認識されてきた病態であり,肝腫瘍と紛らわしい像を示すことがあるため注意を要する. 今回,著者らはアルコール硝子体を伴う典型的なアルコール性肝炎の1女性例において興味ある知見を得たので報告する. 31歳の大量飲酒歴を有する女性で3年前より肝腫大,肝障害を指摘されていた.入院時,著明な肝腫大,黄疸,肝機能異常を認め,RI肝スキャンで右葉中央に欠損像,超音波で高エコー腫瘍像を示し,CTでは大きな局所性低吸収域として示された.入院後,低吸収域は速やかに縮小,消失し,肝生検では脂肪変性,細胞周囲性線維化,軽度の小葉改築傾向の他,炎症細胞浸潤,アルコール硝子体が認...
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Published in | 肝臓 Vol. 26; no. 8; pp. 1077 - 1083 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
1985
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.26.1077 |
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Summary: | 肝への局所性脂肪浸潤はCTの普及に伴い近年認識されてきた病態であり,肝腫瘍と紛らわしい像を示すことがあるため注意を要する. 今回,著者らはアルコール硝子体を伴う典型的なアルコール性肝炎の1女性例において興味ある知見を得たので報告する. 31歳の大量飲酒歴を有する女性で3年前より肝腫大,肝障害を指摘されていた.入院時,著明な肝腫大,黄疸,肝機能異常を認め,RI肝スキャンで右葉中央に欠損像,超音波で高エコー腫瘍像を示し,CTでは大きな局所性低吸収域として示された.入院後,低吸収域は速やかに縮小,消失し,肝生検では脂肪変性,細胞周囲性線維化,軽度の小葉改築傾向の他,炎症細胞浸潤,アルコール硝子体が認められ,アルコール性肝炎と診断された. 局所性脂肪浸潤は肝腫瘍に類似した画像所見を呈するが,CT上,著明な低吸収値を示し,速やかに縮小,消失することなどが肝生検以前における診断に際し有用である. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.26.1077 |