緬羊の体温調節に及ぼす毛刈の影響

毛刈が緬羊の体温調節に及ぼす影響を年齢など動物側の要因に着目して調べた。コリデール種21頭 (雄13頭, 1~13歳;雌8頭, 2~12歳) を対象に, 4月下旬から5月中旬にかけて毛刈の2または3日前と1日後に各種の測定を行った。採食終了後10 : 30から体重と被毛厚を測定し, 13 : 00~15 : 00に風や日差しが直接当らない庇陰舎内に動物を繋留して生理機能を測定した。毛刈前後の生理機能測定時の環境条件は平均値で, 黒球温度 : 21.8℃と20.4℃, 乾球温度 : 20.9℃と19.5℃, 相対湿度 : 49%と59%, 風速 : 0.1m/secと0.0m/secであった。体...

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Published in日本緬羊研究会誌 Vol. 2007; no. 44; pp. 6 - 13
Main Author 竹村, 勇司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緬羊研究会 2007
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ISSN0389-1305
2186-1013
DOI10.11595/jpnjsheepsci1964.2007.6

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Summary:毛刈が緬羊の体温調節に及ぼす影響を年齢など動物側の要因に着目して調べた。コリデール種21頭 (雄13頭, 1~13歳;雌8頭, 2~12歳) を対象に, 4月下旬から5月中旬にかけて毛刈の2または3日前と1日後に各種の測定を行った。採食終了後10 : 30から体重と被毛厚を測定し, 13 : 00~15 : 00に風や日差しが直接当らない庇陰舎内に動物を繋留して生理機能を測定した。毛刈前後の生理機能測定時の環境条件は平均値で, 黒球温度 : 21.8℃と20.4℃, 乾球温度 : 20.9℃と19.5℃, 相対湿度 : 49%と59%, 風速 : 0.1m/secと0.0m/secであった。体幹部被毛厚は, 毛刈前は5cm以上の個体がほとんどであったが, 11歳以上で値の小さい個体が見られた。毛刈後はどの個体も1cm程度であった。毛刈前の直腸温度は3歳以下では4歳以上と比べ, 高くばらつきが大きい傾向を示した。毛刈により多くの個体で直腸温度は0.2℃程度低下したが, 3歳以下の3個体では0.4~0.6℃, 12歳以上の2個体では, 0.5~0.9℃と大きく低下した。毛刈後は, 2歳の1個体が他と比べて高値を, 13歳の1個体が低値を示した。毛刈前の呼吸数は多くの個体で毎分60回以上, 中には180回を示すものもあったが, 2歳以下の3個体 (毎分30~50回) と12歳以上の2個体 (毎分14~15回) は低値を示した。毛刈により呼吸数は低下した。毛刈後の値は12歳以上の2個体が毎分10回程度と低く, 他個体は毎分20~60回であった。熱的中性域における緬羊の安静時呼吸数が毎分20回程度であることから, 毛刈前は多くの個体が暑熱ストレス状態にあったものの, 毛刈によってストレスが緩和されたと考えられた。しかし, 12歳以上では毛刈によって寒冷ストレス状態となった個体もおり, 加齢による体温調節機能低下が原因と推測された。また, 3歳以下では直腸温度や呼吸数のばらつきが大きく, 年齢的に体温調節機能がまだ十分に発達していないものと推測された。
ISSN:0389-1305
2186-1013
DOI:10.11595/jpnjsheepsci1964.2007.6