換気力学からみた治療の問題点 気管支拡張剤の作用機序を中心として
閉塞性肺疾患における気道抵抗の増大, 吸気の肺内不均等分布は呼吸不全成立への重要な因子となるものであり, その対策として気管支拡張薬の投与が普遍的に取り入れられている. 交感神経刺激剤としてのイソプロテレノールは, 気管支喘息患者における自覚症の改善, 気道抵抗の減少, 時限肺活量の増大などによりその有用性が確認されてきているが, 反面気管支拡張剤エロゾル吸入後, 動脈血Po2は低下するという報告1)~3)が近年注目されてきている. Knudsonら2)は気管支喘息患者においてイソプロテレノール吸入後(A-a)D増大, Fco, DLCOの低下を観察し, 吸入によって換気の良好な部位の換気量が...
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Published in | 医療 Vol. 28; no. 11; pp. 968 - 977 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
1974
医療同好会 |
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ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.28.968 |
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Summary: | 閉塞性肺疾患における気道抵抗の増大, 吸気の肺内不均等分布は呼吸不全成立への重要な因子となるものであり, その対策として気管支拡張薬の投与が普遍的に取り入れられている. 交感神経刺激剤としてのイソプロテレノールは, 気管支喘息患者における自覚症の改善, 気道抵抗の減少, 時限肺活量の増大などによりその有用性が確認されてきているが, 反面気管支拡張剤エロゾル吸入後, 動脈血Po2は低下するという報告1)~3)が近年注目されてきている. Knudsonら2)は気管支喘息患者においてイソプロテレノール吸入後(A-a)D増大, Fco, DLCOの低下を観察し, 吸入によって換気の良好な部位の換気量がなお一層増加し, 肺内VA/Q分布不均衡が更に増大したためとしている. 気管支喘息発作時における呼吸抵抗の増大は区域, 亜区域気管支などの比較的大気管支領域の狭窄によるものであって, いわゆるSmall airwayの病変の肺抵抗に関与する比率は小さく,4) 従来あまり重視されなかった. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.28.968 |