2度にわたる肝切除が可能であった肝原発類上皮型血管内皮腫の1例

肝葉切除後33ヵ月で残肝再発をきたし,再切除しえた肝原発類上皮型血管内皮腫Epithelioid Hemangioendothelioma (EHE)の1例を経験した.症例は57歳・女性で胆摘施行時に肝腫瘍を発見,当科にて肝右葉切除およびS4部分切除術をおこない,EHEの確診をえた.経過観察中に再発を認め,肝S3, S4部分切除術を施行し,術後5-FU,塩酸エピルビシンの肝動注療法を併用した.肝原発EHEは本邦報告が28例に過ぎない非常にまれな疾患である.組織発生については不明な点も多いが,著者らは切除標本から腫瘍培養細胞株を樹立し,腫瘍の発生・線維化における伊東細胞の関与について検討した.本...

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Published in肝臓 Vol. 37; no. 8; pp. 456 - 462
Main Authors 福原, 賢治, 村上, 一宏, 坂本, 宣英, 松野, 正紀, 鈴木, 正徳, 力山, 敏樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.08.1996
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.37.456

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Summary:肝葉切除後33ヵ月で残肝再発をきたし,再切除しえた肝原発類上皮型血管内皮腫Epithelioid Hemangioendothelioma (EHE)の1例を経験した.症例は57歳・女性で胆摘施行時に肝腫瘍を発見,当科にて肝右葉切除およびS4部分切除術をおこない,EHEの確診をえた.経過観察中に再発を認め,肝S3, S4部分切除術を施行し,術後5-FU,塩酸エピルビシンの肝動注療法を併用した.肝原発EHEは本邦報告が28例に過ぎない非常にまれな疾患である.組織発生については不明な点も多いが,著者らは切除標本から腫瘍培養細胞株を樹立し,腫瘍の発生・線維化における伊東細胞の関与について検討した.本腫瘍の治療体系は末だ確立されておらず切除例も少ないが,本症例は再切除後24ヵ月を経過した現在,再発・転移等の徴候はなく,比較的早期の肝EHEに対しては,積極的な外科的切除と動注化学療法の併用が効果的と考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.37.456