正中腹壁ヘルニアの1例
症例は75歳,女性.上腹部腫瘤を主訴として来院.腫瘤はほぼ鶏卵大で軽い圧痛を伴い弾性軟であった.腹圧により腫瘤が増大するため腹壁ヘルニアと考えた.超音波検査および腹部CTでは,腫瘤は左右腹直筋の間の白線を貫いて皮下に達しており正中腹壁ヘルニアと診断した.手術では白線より腹膜前脂肪とヘルニア嚢が脱出しており周囲を剥離,ヘルニア嚢を切除修復し白線を2層に閉創,さらにMarlex meshにて前面を覆い補強した.術後9カ月経過した現在,再発を認めない.手術はヘルニア嚢の切除とヘルニア門の縫合閉鎖が原則であると考えられ,術式はヘルニア門を単純に閉鎖する方法,腹直筋鞘や切離線を重ね合わせて縫合する方法,...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 1; pp. 240 - 243 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.01.2001
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.62.240 |
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Summary: | 症例は75歳,女性.上腹部腫瘤を主訴として来院.腫瘤はほぼ鶏卵大で軽い圧痛を伴い弾性軟であった.腹圧により腫瘤が増大するため腹壁ヘルニアと考えた.超音波検査および腹部CTでは,腫瘤は左右腹直筋の間の白線を貫いて皮下に達しており正中腹壁ヘルニアと診断した.手術では白線より腹膜前脂肪とヘルニア嚢が脱出しており周囲を剥離,ヘルニア嚢を切除修復し白線を2層に閉創,さらにMarlex meshにて前面を覆い補強した.術後9カ月経過した現在,再発を認めない.手術はヘルニア嚢の切除とヘルニア門の縫合閉鎖が原則であると考えられ,術式はヘルニア門を単純に閉鎖する方法,腹直筋鞘や切離線を重ね合わせて縫合する方法,腹直筋前鞘と後鞘を2層に縫合する方法などの報告がある.正中腹壁ヘルニアは本邦では比較的稀な疾患であり,自験例を含め,詳細の明らかな本邦報告例50例の集計も合わせて文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.62.240 |