急性肝不全に対する血液浄化療法の実験的・臨床的検討
急性肝不全における血液浄化療法の意義を解明するためにD-galactosamine(GalN)により肝不全ラットを作成し、正常ラットとの間で基本的な肝補助である全血交叉灌流と血漿交換に類似した血漿交叉灌流を行なった。GalN障害肝のミトコンドリアATP生成能は、全血、及び血漿交叉灌流により有意に改善され、実験的には血液浄化療法に肝不全治療効果を認めた。しかし、教室で、血液浄化療法により治療された肝不全症例42例の生存率は31.0%に過ぎず、42例のうち29例(69, 0%)は治療開始時に、既に多臓器不全を合併しており、それらの症例の生存率は17.2%と著しく低かうた。肝不全例7例において網内系...
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| Published in | 人工臓器 Vol. 16; no. 3; pp. 1258 - 1262 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
1987
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0300-0818 1883-6097 |
| DOI | 10.11392/jsao1972.16.1258 |
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| Summary: | 急性肝不全における血液浄化療法の意義を解明するためにD-galactosamine(GalN)により肝不全ラットを作成し、正常ラットとの間で基本的な肝補助である全血交叉灌流と血漿交換に類似した血漿交叉灌流を行なった。GalN障害肝のミトコンドリアATP生成能は、全血、及び血漿交叉灌流により有意に改善され、実験的には血液浄化療法に肝不全治療効果を認めた。しかし、教室で、血液浄化療法により治療された肝不全症例42例の生存率は31.0%に過ぎず、42例のうち29例(69, 0%)は治療開始時に、既に多臓器不全を合併しており、それらの症例の生存率は17.2%と著しく低かうた。肝不全例7例において網内系phagocytic indexとリンパ球幼若化反応を測定すると、両者とも血漿交換前には低下していた。血漿交換はリンパ球機能を改善し、網内系への負荷を軽減することから生体防御の面からも有利であり、肝以外の臓器不全の進展も予防し得るものと考えられた。 |
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| ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
| DOI: | 10.11392/jsao1972.16.1258 |