胸腔鏡による肺部分切除を施行した肺硬化性血管腫の1例

症例は68歳女性.平成10年9月に両側変形性膝関節症に対し,全身麻酔での手術を予定していたが,術前の胸部単純レントゲンで右下肺野に約1.5cmの円形陰影を指摘され,精査,治療目的に入院した.入院時,身体所見,血液生化学検査に特に異常を認めなかった.胸部CTにて,辺縁明瞭で内部均一な腫瘤陰影が右S8に認められたが,胸膜の陥入やリンパ節の腫脹は認められなかった.気管支鏡検査の範囲では異常を認めなかった.しかし,悪性腫瘍を否定し得ず,診断的治療目的に胸腔鏡による肺部分切除を施行した.病理検査にて肺硬化性血管腫と診断された. 肺硬化性血管腫は肺末梢に好発する比較的稀な良性腫瘍である.その術前診断は困難...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 2; pp. 348 - 351
Main Authors 福田, 賢一郎, 増山, 守, 米山, 千尋, 渡辺, 信介, 加藤, 誠, 中瀬, 有遠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.02.2000
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.348

Cover

More Information
Summary:症例は68歳女性.平成10年9月に両側変形性膝関節症に対し,全身麻酔での手術を予定していたが,術前の胸部単純レントゲンで右下肺野に約1.5cmの円形陰影を指摘され,精査,治療目的に入院した.入院時,身体所見,血液生化学検査に特に異常を認めなかった.胸部CTにて,辺縁明瞭で内部均一な腫瘤陰影が右S8に認められたが,胸膜の陥入やリンパ節の腫脹は認められなかった.気管支鏡検査の範囲では異常を認めなかった.しかし,悪性腫瘍を否定し得ず,診断的治療目的に胸腔鏡による肺部分切除を施行した.病理検査にて肺硬化性血管腫と診断された. 肺硬化性血管腫は肺末梢に好発する比較的稀な良性腫瘍である.その術前診断は困難であり,術中迅速標本でも診断し得ないことがあるとされている.このような症例に,胸腔鏡手術は低侵襲であり,確定診断をかねた治療として推奨されると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.348