小腸大量出血の2例

小腸出血の全消化管出血の中での頻度は2~5%と報告されており, むしろまれであるが, しばしば大量出血をきたし致命的となることもある。また, その出血源検索が通常の上下部消化管内視鏡検査では困難なために, 同定に難渋する場合が多い。われわれは小腸大量出血の2例を経験し, そこから術前・術中の出血源検索について若干の知見を得たので報告する。症例1は腫瘍からの出血で, 術前検索が速やかにまた確実に行うことができた。症例2は非特異的潰瘍性病変からの出血であったため, 出血源の同定が不確実なものとなり, さらには大巾に小腸を切除せざるを得なかった。小腸出血の出血源検索のポイントは腫瘍性病変か否かをまず...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 24; no. 6; pp. 1079 - 1083
Main Authors 内山, 哲之, 小野地, 章一, 小野, 文徳, 神山, 篤史, 吉田, 節朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2004
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.24.1079

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Summary:小腸出血の全消化管出血の中での頻度は2~5%と報告されており, むしろまれであるが, しばしば大量出血をきたし致命的となることもある。また, その出血源検索が通常の上下部消化管内視鏡検査では困難なために, 同定に難渋する場合が多い。われわれは小腸大量出血の2例を経験し, そこから術前・術中の出血源検索について若干の知見を得たので報告する。症例1は腫瘍からの出血で, 術前検索が速やかにまた確実に行うことができた。症例2は非特異的潰瘍性病変からの出血であったため, 出血源の同定が不確実なものとなり, さらには大巾に小腸を切除せざるを得なかった。小腸出血の出血源検索のポイントは腫瘍性病変か否かをまず鑑別することであり, 腫瘍描出能に優れた血管造影検査は優先的に行われるべきである。非腫瘍性出血の場合には, 術中検索に備えて, 責任血管の選択的なコイリングによるマーキングや術中内視鏡の準備などが必要であると思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.24.1079