原発巣切除術後10年目に切除しえた胃平滑筋芽細胞腫肝転移の1例
症例は53歳,女性. 1985年に胃平滑筋芽細胞腫にて胃楔状切除術を他医で施行された. 1995年4月腹部膨満感を主訴に近医受診後,当科入院となった.入院時,右季肋部に小児頭大,弾性硬の腫瘤を触知した.腹部CT検査所見では肝左葉に低吸収域の腫瘍陰影が存在した.造影CT検査では腫瘍の被膜,隔壁が造影された.腹腔動脈造影検査所見では主要な血管は腫瘤により伸展圧排され,腫瘍の一部は左肝動脈により栄養されていた.以上より1995年6月肝尾状葉切除を伴う腫瘍摘出術を施行した.病理組織所見の結果,平滑筋芽細胞腫肝転移と診断された.術後経過は良好であり術後第17病日に退院した.本邦での胃平滑筋芽細胞腫肝転移...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 4; pp. 978 - 982 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.04.1998
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.59.978 |
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Summary: | 症例は53歳,女性. 1985年に胃平滑筋芽細胞腫にて胃楔状切除術を他医で施行された. 1995年4月腹部膨満感を主訴に近医受診後,当科入院となった.入院時,右季肋部に小児頭大,弾性硬の腫瘤を触知した.腹部CT検査所見では肝左葉に低吸収域の腫瘍陰影が存在した.造影CT検査では腫瘍の被膜,隔壁が造影された.腹腔動脈造影検査所見では主要な血管は腫瘤により伸展圧排され,腫瘍の一部は左肝動脈により栄養されていた.以上より1995年6月肝尾状葉切除を伴う腫瘍摘出術を施行した.病理組織所見の結果,平滑筋芽細胞腫肝転移と診断された.術後経過は良好であり術後第17病日に退院した.本邦での胃平滑筋芽細胞腫肝転移報告例は15例のみであり,そのうち原発巣切除術後の再発例は6例であった. 10年以上の生存例は本例のみであった.われわれは原発巣切除術後10年目に切除しえた胃平滑筋芽細胞腫の1例を経験したので報告した. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.59.978 |